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第94話 ピクニック論争

 鏡島に到着。特に目立った用もないが、興味本位で散策してみるとしよう。

駅に降り立った瞬間、目に映ったのは一面の鏡景色。

これは感嘆の声を上げずにはいられない。

地面も草木も野生動物も全て何もかも、鏡でできているのである。

すると、なぜだか無性に希望が湧いてきた。

俺には輝かしい未来が待っている。行く先は明るい。

確かにそんな気がしたのだ。

ところが、これは単なる勘違いで、

正しくは鏡による光の反射で、視界が白一色となっていただけであった。

事実は時に残酷だ。

詳しくは分からないが、たぶん他の何かも時に残酷だろう。


 この衝撃の事実を吉村さんから伝えられたときの精神的ショックは、

坂より斜めで、丘より丸かった。

人生の先輩として、ピクニックに行く際は、丘の方を薦める。

仮に坂で弁当の風呂敷を広げた場合、

手から零れ落ちたサンドイッチが下へ下へと転がり、……転がらないか。

では、サンドイッチでなく、落としたのがおにぎりであったのなら、

……落とさないか。

それ以前に、坂で弁当は食わないか。

先ほどの件の影響により、コツコツと計画的に自信が失われつつある。

昔の俺なら、人目を気にせず胸を張って、

坂でサンドイッチを転がしていたはずなのに。

どうして、どうして、どうして俺は……

麺類を弁当の選択肢に入れなかったんだ?

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