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第93話 打ち切りの危機

結果、裁判長の笑顔の威圧感によって12箇所全てのトンネルが崩れ落ち、

世界に平和が訪れた。

だが、それは禁断の技 パセリを披露した十二右衛門を除いての話である。

人間の可動範囲を大幅に超えた激しい動きが、奴の体力を完全に奪い去った。

十二右衛門はふらつきながら数歩進んだ後、列車の屋根から足を踏み外して落下。

既に気を失っているのか、悲鳴の一つさえ奴の口からは聞こえない。

目を覚ませ、十二右衛門! コメディで大怪我したら笑えないぞ!


 ビュオー。三郎の歯と歯との間に吹く隙間風かな?

ビュオー。違うな、これは。もしかして、風で車体が……宙に浮いている!?

ズゴー。下から倒立状態の十二右衛門が徐々にせり上がってくる。

奴の顔は風圧で歪み、

ラーメンを両足の甲で器ごと押し潰したような代物となっていた。

写真に撮り、SNS(砂場でよく遊んでいる小学生の情報網)を

利用して拡散しよう。

皆の衆、子どもの情報拡散能力を侮ってはいけない。

俺も高校の修学旅行で、夜な夜な宿の女将と全財産を賭けたフェンシングに

興じたことが、いつの間にか祖父母に認知されていた経験がある。


 国立野生探偵 三郎の推理によると、落下した弾みで、

ちょんまげから意図せずサイクロンが出て、十二右衛門は助かったらしい。

詰め替え用サイクロンをこれまでに消費しなかったのが、功を奏したと言えよう。

「次は、鏡島(かがみじま)、鏡島。ドッペルゲンガーにご注意ください」

倍の数の変人を捌き切れる自信がない。おそらく元気に天手古舞。

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