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第90話 トンネル正面突破

 濛々(もうもう)とする黒煙によって嗅覚が非業の死を遂げたが、

どうにかこうにかノベラビ列車の屋根へ乗り移ることはできた。

が、浮かれる暇もなく、俺たちに迫り来るトンネル。

それは、腹ばいになってようやく紙一重で通れるくらいの高さだ。

全員伏せ用意! おい、十二右衛門も大人しく屈むんだ!

13束目のちょんまげを結っている場合ではないぞ。

しかも、列車上の露天風呂に浸かって、

呑気に日々の疲れを癒そうとしているではないか。

ところが、思惑通りに事は運ばず、気付けば奴は

100度に沸騰した湯の中でのたうち回っていた。

茹で上がった侍は落ち武者にしか見えない。

除霊しよう。ここで、かつて霊媒師であった経験が活きてくる。

塩を丁度切らしているので、代わりにラクダのこぶを投げつけた。

すると、十二右衛門が負けじと、

ちょんまげから出したサイクロンでこぶを跳ね返す。

勢いづいたこぶはトンネルに直撃し、やがてトンネルは崩落。

思いがけない突破劇。ラクダのこぶ様様である。


 車外アナウンスが流れた。

ノベラビ列車のアナウンスは車内に聞こえないため、

乗り遅れたのがかえって好都合であったようだ。

「次は、トンネル十二街、トンネル十二街。

 12箇所のトンネルを連続で通りますので、

 乗客の皆さんはラクダのこぶをご準備ください」

”ラクダサイクロンこぶレボリューション”は公式推奨だったのか。

でも、なぜか十二右衛門がまごついている。

「どうしたものか……サイクロンが品切れでな」

こういう時こそ通信販売に頼ろう。

詰め替え用サイクロン 税込980円。

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