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第83話 隣人の行方

 勾玉爆弾ゲームは俺たちの勝利。

蒼龍、約束通り隣人の居場所を教えてくれ。

「隣人は火山小僧の手によって、小説迷宮に閉じ込められています」

小説迷宮、この言葉はなぜか記憶の片隅にある。

構造は立体型迷路、

各関門では出されたお題に沿う小説を

即興で書き上げなければ次に進めない。

そして、出来上がった瞬間、

火山小僧に小説を燃やされる無限地獄が醍醐味と聞く。

望むところだ。こちらには、文才に長けた三郎がいる。

奴の操る象形文字は物語の1ピースに留まらず、

読者に無限大の可能性を感じさせると思えばそうでもなく、

実のところ落書き以下でしかない。


 「はい、これが小説迷宮行きの切符です。

  見た目がラザニアそのものなので、間違えて口に運んでしまわぬように」

そう言って、蒼龍は切符を食べ始めた。

「不味っ! 何だこれ……切符じゃないですか!」

極度の認知症だ。すぐさま再発行。

「はい、これが小説迷宮行きの切符です。

 見た目がラザニアそのものなので……」

ループに入った……!?

これではまた、切符を食べて再発行の繰り返しになってしまう。

ループから抜け出すためにも、俺が食べる!

蒼龍から切符を奪い取り、口へ放り込む。

むむっ、なぜだか美味い! 俺の舌の好みにドンピシャ。

「まだまだ替えはあります。たんと食べていってください」

皆来たれ、切符食堂。

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