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第79話 共感なんて関係ねぇ

 安本孝のラジオ放送は続く。

「では、松葉杖エイリアンさんの質問に答えましょう。

 ラジオとは、あなたの聞いているそれです。以上」

適切かつ的確な「以上」のイントネーション。

これほどまでに美しい「以上」を耳にしたことはない。

「以上~」

オペラ歌手に軍配。

記録は瞬時に塗り替えられるものである。


 「二通目のお便りを読んでいきたいと思います。

  こちらは、ラジオネーム スミス・J・新村さん、

  改め本名 松葉杖エイリアンさんからです」

逆パターンもあるのか。

『衝撃!! 松葉杖エイリアンは実在した!!』

明日の朝刊の見出しは、これで決まり。

「『我々ハ宇宙人ダ。地球侵略作戦ヲ只今ヨリ遂行スル。

  手始メニ世界中ノ松葉杖ヲ買イ占メルトシヨウ』」

迫り来る脅威が嫌がらせの域を出ていない。

「スミス・J・新村さん、楽しいお便りをありがとうございました!

 松葉杖の先端って時たま、松茸の香りがしますよね。

 共感できたリスナーはラジオを電源から切ってください!」

共感できなかったが、切断。


 チ チ チ チ ブチッ

予期した通りの再接続。

「おっと、今週の宝くじの当選発表がまだでした。

 当選文字列は……」

ズザーーーーーーーーーー

肝心なところで電波障害が。

出禁のメカニック 三郎に修理を依頼しよう。

奴は脇から工学の専門書を取り出した。

「三郎は今から勉強するつもりではないだろう」

飼い主の吉村さんはそう言い張る。

ならば、何をする気だ?

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