第73話 勾玉爆弾ゲーム
遂に勾玉爆弾ゲームがスタート。
皆が皆、疑心暗鬼に陥っている。これは無理もない状況だ。
六個の勾玉のうち、どれが爆弾なのか、外見からは全く見分けがつかな……
ピッ ピッ ピッ ピッ
音が鳴っているんだよなぁ。
まさか聴覚がゲームの面白さを半減させてしまうとは。
これは一体誰の勾玉の音だ?
怪しい動きを見せた人を虱潰しに探っていこう。
おっと、吉村さん、今ポケットに隠した物を見せてくれるか?
君は運が悪い。
生憎、俺は毎朝、家宅捜査のイメージトレーニングをしているぐらいでね。
大衆居酒屋で取り皿しか頼まない警察官を演じさせていただくよ。
はい、出して出して。
まずこれが、三食ボールペンね。
ノックする度、一食分のフリーズドライが出ると評判の奴か。
どれどれ、カチッ。ジャー
出てきた物にお湯をかけて出来上がったのは、お湯。
幻覚でした。三食ボールペンなどありはしないのに。
ただ空間を温めただけ。暖房男、ここにあり。
あ、取り皿一枚お願いします。
次に出てきたのは、大皿の中華料理。
取り皿五枚追加で。
いいですいいです、俺が取り分けますよ。気が利くところ見せたいので。
すると、花野美代子が注文を一つ付け加えてきた。
「41:67:89:283:659:997の割合で盛り付けてくださいね」
こう見えて、最も簡単な整数比なのである。隠れた親切心。




