第72話 動物通訳は辛いよ
ブフォーン!
ゲーム開始前に爆発が起こった。笑い事ではない。
”勾玉爆弾ゲーム”のルールは簡単、まず勾玉が一人に一個ずつ配られる。
そして、その中の一個にだけ、
外見からは判断できない時限爆弾が内蔵されている。
ゲーム終了後は、勾玉一個につき600万ドルと交換されるが、
爆発を受けたプレイヤーは賞金が獲得不可能となってしまう。
いかに無害な勾玉を集め、勾玉爆弾を他人に押し付けられるか、という
命を懸けた遊戯を是非とも楽しもうではないか。
ちなみに、爆発までの制限時間が5分なのか、5年なのか、はたまた5kmなのか、
一体どれくらいの長さであるかは、誰にも分からない。
俺は大穴の5Lだと予想する。
蒼龍が緊迫した空気を緩ませるように話しかけてきた。
「勝負前に牛乳4枚飲みますか?」
3オクターブで結構です。下手すると、2坪でも多いぐらいだ。
いい加減、常識を身につけてくれ。
どう考えても4枚は供給過多であろう。
「パオーン」
同意してくれるか、インド象。やはりそう思うだろ?
「パオーン」
思わない、と。ふざけるなよ。
「パオーン」
どうか命だけは……お助け!
「パオーン」
へぇ、ゲノム編集はもうその領域にまで進歩したのか。
「パオーン」
いかがわしいな。




