第63話 異邦からの招待状
市川さんのみぞおちに出所不明の紙飛行機が突き刺さる。
この状況、自動追尾機能が備わっていたとしか思えない。
そうは言っても、奴の苦悶の表情をおかずに、白飯三杯は食える。
ふりかけでも梅干しでも越えられなかった三杯目の壁が、
いとも簡単に崩れ去った。
俺の食欲増進のために身を投げ打ってくれた市川さんに
乱射電撃鮫食わせ、合掌。ご馳走様でした。
ちょっと待て。紙飛行機に何やらメッセージが書かれている。
紙を開き、文字を追う。
『ここで待つ。
蒼龍』
”ここ”とは、どこだ。
指名手配犯側から名乗り出てきたのは
探す手間が省けてありがたいが、どうにも奴の居場所が分からない。
すると、インド象が紙飛行機の臭いを嗅ぎ、西の方角を鼻指した。
アメリカなのか。史上初の警察象が誕生した瞬間である。
ここで、来賓のご紹介を。
スペインから来られました闘牛さんです。
では、我々に一突きずつお願いします。
ぬぐぐ。尻に走る激痛が原動力となり、俺たちは大西洋を駆け足で横断。
「よく来ましたね、餅信者さんたち」
この呼び方はドブネズミ洋平か?
しかし、口調が嫌にお淑やかである。
「花野美代子のラスベガスへようこそ。
私が手掛けた『陰陽師カジノ』を攻略してみなさい」
陰陽師とカジノの夢の融合。そして、あなたが市長なのですね。
花の都ではなく、花野美代子。ちゃんちゃらおかしい。




