第56話 ナイル川カヌーレース 其の弐
ナイル川の競走経路は、上流・中流・下流の三部分に分かれており、
地中海に出ればレース終了。
それぞれの流れの境界には休憩所があり、そこで物資を補給するできる。
走者はコロッケを揚げるペースを入念に考え……
チーム問題出航!
ルール説明中のフライングは紛れもない問題行動。
気が付けば、チーム合体のカヌーも点のようにしか見えなくなった。
そして、ヤスダは頭を抱えている。
今のところ全く自分の見せ場がないことを嘆いているのだろう。
ん、奴は膝を曲げ伸ばししながら悩むタイプなのか?
違う。スクワットだ。
ただ出発前の準備体操を全うしているだけであった。
次はデスフェザーソード。
裁判長の系譜をしっかりと受け継いでいる。
いや、かかとはずしを後回しにしている点において、
ヤスダの方が優れていると言えよう。
吉村ファミリーの伝統芸、確と見届けた。
補足となるが、デスフェザーソードとはその名の通り、
明日への希望を忘れずに、鉄鋼に頭突きを繰り返して、
他人に心配されるといった種目である。
チョキチョキ。
この音声が聞こえたということは、何かしら事件が起きたということ。
どうやら三郎のヒップドロップでカヌーの底に穴が開いたらしい。
インド象の体重さえも耐えるカヌーに勝るゴリラの尻落としとは。




