第52話 裏側(前編)
今回からしばらくの間、ヤスダを中心として話が進んでいく予定であるが、
ここで見て見ぬふりのできない重大な事実に気が付いてしまった。
それは、ヤスダが現在最も影の薄い人物であるということだ。
過去を振り返れば、悪徳商売と内気な審判しかしていない。
存在すら忘れられていた名脇役 隣人が消えたことも大きいだろう。
とにかく現状のままでは画がもたない。
対策を練らなければ、打ち切りも視野に入ってくる。
俺は主要人物たちを大至急で招集し、緊急の打ち合わせを開いた。
集まったのは、祖父母、向かいの家のおばさん、ブルドッグ、幽霊、
飛行機落とし、ゴーストバスターマン、黄金仮面男。
”名”の字もつかない脇役の大集合。
集めるグループを間違えた。
そして、浄化爺さんは月からリモートで参加。
奴の背景には水星があり、突き出した二本足も見える。
早速、話し合いを始めよう。まずは祖父母が話を切り出した。
「ヤスダさんに儂らのことを訪問介護してもらおうかのおぅ」
これだけは孫の権限で否決。
家が長老ウサギの屋敷のようになってしまう。
「あたしの別荘でお茶会しようや」
おばさんの戯言を無視したところで、幽霊が提案する。
「理不尽ノ國で砂嵐に飛ばされたヤスダさんの仮面を
探しに行くのはどうでしょう?
隣人さんのカスタネットもあることですし」
建設的な意見をどうもありがとう。却下です。




