第51話 ヤスダ裁判
俺たちが蒼龍の尻拭いをしている間に、陰陽師二人組が行方を晦ました。
あいつら、ただじゃおかないからな。
バチカン市国全土に指名手配してやる。
懸賞菌はビフィズス菌3兆個。
懸賞菌の支払い方法としては、相当数の菌を含む、
20世紀初頭の年季の入ったヨーグルトを足裏から注入することになる。
健康志向のキリシタンが必ずやお前たちを捕まえるだろう。
出し抜けに、ヤスダが失神して倒れた。
呼気は微かに感じられるものの、体を揺り動かしても返事がない。
仮面を無くしたストレスが原因で、身体に何か異常をきたしたのかもしれない。
すると、背の随分高い男が声をかけてきた。その男は黄金の仮面を被っている。
「旅人よ、私が彼を診て進ぜよう」
俺たちは仮面男にヤスダを任せた。頼りがいがありそうだ。
仮面男はヤスダの鼻に二本指を突っ込むと、
間を置かずに重苦しい空気を漂わせて言った。
「心して聞いてくれ。彼は……仮病だ。
自分の出番が近頃めっきり少なくなり、改めて人目を惹くため、故意に倒れた。
凡そそんなところだろう。心配無用さ」
ヤスダの顔が見る見るうちに紫がかっていく。
羞恥心による赤色と、
仮病が発覚した焦りから青ざめたのが合わさったのであろう。
これは制裁を加えねばならぬな。
一定期間、疲労骨折するぐらい出番を増やしてやる。
裁判長、判決をお願いします。
「主文 被告人ヤスダを過度出演の刑に処す」




