第50話 最我異切斬!!
このままでは、モアイ像は破壊の限りを尽くし、
エジプトがただの砂地へと帰してしまう。
これは、弁当箱に敷き詰めた白いサプリメントの上にサクランボを乗せて
日の丸弁当だと言い張る人でも、許さない行為である。
俺たちでモアイ像の進撃を食い止めなければならない。
ただし、蒼龍には傍観していてもらう。
何せ奴の人選ミスは甚だしい。
先陣を切ったのはドブネズミ洋平。白滝でモアイ像の捕獲を試みる。
紐状食品のレパートリーはまだあったのか。
しかしながら、白滝にビーフンや春雨ほどの強度はない。
モアイ像は絡み付く白滝をいとも簡単に解き、
ピラミッドめがけて二の腕を振りかざす。
が、あるところでピタリとモアイ像が動かなくなった。
その動きを止めているのは……吉村さん!
自前の大剣の先端をモアイ像の二の腕に突き刺しているのだ。
モアイ像はもう片方の二の腕で攻撃しようとする。
動きを見切った吉村さんは瞬時に剣を後方へ引く。
すると、驚いたことに、奴の剣が青い稲妻を纏い出した。
数秒間隔で吉村さんが骸骨状態に見える。
感電の仕方がフィクション。
吉村さんは耐え切れなくなり、慌てて剣の照明電源を落とした。
夢がない。
そして、奴はモアイ像に向かい、走り出して切り込む。
「最我異切斬!!」
当て字が絶妙に格好良くない。
モアイ像はうつ伏せに切り倒され、ツタメンくんの着ぐるみまで切断。
ツタメンくんの中からは、口髭を貯えた汗だくのおじさんが顔を見せた。
これまた夢がない。




