第46話 十五夜グルメ対決ーデザートー
幻術を体験し、新鮮な酸素を肺に入れ、
そろそろ甘味が欲しくなってきた頃である。
俺たちが満喫できるデザートを期待しよう。
だが、ドブネズミ洋平の心はすっかり折れてしまっていた。
「急に出てきた西田って誰だよ……」
ごもっとも。全身全霊で同情します。
そんな障壁を気にも留めず、せっせと用意する三郎。
俺は西田に札を挙げる気満々で奴を応援しよう。
奴は餅を棒状になるよう引き伸ばし、
その餅棒を地球へ向かって釣り竿のように投げた。
ほう、地球から食材を調達するつもりか。
三郎が釣り上げたのは……沖縄県!
県を月まで持ってくるゴリラは、
ナポリタンと漫才をする中学生よりも貴重な存在だ。
大切にしていきたい。
では、沖縄県を実食。
シーサーや石垣の異常な歯応えが大変不快であるが、
サトウキビの甘さが程良いアクセントとなっている。
この奇怪な味が審査員の嗜好に合うのであろうか。
判定に移る。ドブネズミ洋平が辞退したため、三郎と西田の一騎打ちの構図に。
左から、三郎、西田、西田、三郎、西田、三郎、西田、三郎。
ここまでは4対4の熾烈な争い。残るは裁判長の札のみ。
裁判長の選択は……”決められません”!
お前だけは優柔不断であってはならない。
十五夜グルメ対決は延長戦へ縺れ込んだ。
もはや我々は何と戦っているのだろうか。
審査員もさらに2人増えている。




