第45話 十五夜グルメ対決ーメインディッシュー
フルコースは、メインディッシュで
良し悪しが決定すると言っても過言ではない。
ドブネズミ洋平は竹筒にビーフンと火薬を詰め、導火線に火をつける。
数秒後、ビーフンは空高く打ち上がり、カラフルに爆発した。
これはE級グルメの代表格”花火ーフン”。
大変鮮やかであるが、如何せん食べることができない。
審査員は未だ一口も食べておらず、腹と後頭部が今にもくっ付きそうだ。
それに、イリュージョンを見た後では、今一つ物足りない。
「ここからが本番さ」
全く自信を失っていないドブネズミ洋平。何か秘策があるのか。
すると、花火の燃え屑が雨を呼び、濡れたビーフンが地に落ちる。
やがてビーフンは芽を出し、俺が見上げるくらいの高さの大木へと生長。
ドブネズミ洋平は集気瓶を持って木の周囲を駆け回り、
その瓶ごと料理として差し出してきた。
「本日のメインディッシュ”出来立ての酸素”だ。
清々しいうちにお吸いくだされ」
最強だ。酸素はあらゆる生命にとって欠かせないもの。
さらに、それが出来立てときた。固形物などクソ食らえ。
どんな高級食材を使おうと、これの足元にも及ばないだろう。
三郎、諦めた方が身のため……
料理そっちのけで無邪気に木登りをしている。
野生の本能には逆らえないようだ。
判定は左から、ドブネズミ洋平、ドブネズミ洋平、ドブネズミ洋平、
西田、西田、西田、西田。3対4で西田の勝利。
架空の人物が大きな一勝をもぎ取った。
思い返せば、審査員は3人のはず。謎が多い。




