第44話 十五夜グルメ対決ー前菜ー
コンテストの開始を知らせるゴングが鳴った。
ドブネズミ洋平と三郎が、各々の担当食材でお月見フルコースを作る。
まずは前菜から。ドブネズミ洋平は、
ビーフンと春雨にドレッシングをかけて混ぜたものを皿に乗せた。
「へい、お待ち。”ドキドキサラダ”だ。
春雨には劇薬を練り込んであるので、
安全なビーフンだけを抽出して召し上がれ」
ロシアンルーレット in ビーフン。
常に命の危機と隣り合わせのこの料理、嫌いじゃない。
年齢制限はR300+としておくので、条件を満たす人はぜひ。
熱っ! 焼き立ての餅が顔面に粘り付いて離れないのだが。
そこへ三郎が飛び上がって、太アスパラガス1本を真っすぐ刺しに来た。
これは流石に、味わう前に三途の川辺でキャンプをしてしまいそうだ。
神様仏様今夜の献立をしめじパウダーにしようと考えている奥様、助けてくれ!
うっ! ……あれ? 俺、生きているぞ。痛みも全く感じていない。
顔に貼り付いた餅の隙間からは、
会場から絶え間ない拍手を受ける三郎の姿が見える。
まさか三郎の前菜は……”イリュージョン”!?
両者とも非常に刺激的な前菜であったが、
審査員の判定は全会一致で三郎に。
初戦はゴリラの曲芸師がビーフンを翻弄する形となった。
一度、グルメの定義を再確認したい。




