第42話 アレキサンドラの正体
アレキサンドラはビーフンを蜘蛛の糸さながらに操り、
長老ウサギをも捕らえた。
「これで私も最期か……」
自ら危機を悟った長老は、近くに赤く光る一等星を口に咥えて咀嚼する。
すると、長老の身体が少しずつ宙に浮き、オリオン座の左上と化した。
ベテルギウスの世代交代。星座はこうして長い間維持されているのだなぁ。
「長老ハ星トナリ、蒼龍ハ身動キスラ取レナイ。月ハ儂ガ征服シタ!」
アレキサンドラが人が変わったように叫ぶ。
「こいつ違うな」
吉村さんは一足先に何かを見抜いているようだ。
陰陽師の衣装からカジュアル系税理士コーデに着替えるアレキサンドラ。
このファッションセンスの無さ、あいつ以外考えられない。
アレキサンドラが顔の皮を剥ぎ、素顔を曝け出す。
「あの日はよくも儂を飛行機から落としてくれたのぉ。
借りはきっちりと返させてもらうで」
あろうことか月で待ち伏せしていたとはな、ドブネズミ洋平め。
この一連の大事件、元はと言えば事の発端は! ……俺だ。
と、見せかけてのインド象!の正面にいる俺だ。
誰か濡れ衣を着てくださる方はいませんか?
今なら50%オンで割高だよ。
責任転嫁、はじめました。




