第37話 フリースタイル餅つき
ここが月……なのか?
どうやらここ一帯は、地球並みの重力や空気が存在するようだ。
辺りを見渡せば、
数えきれないほどのウサギが汗水垂らして餅をついている。
だが、そのつき方が独創性に溢れて止まない。
餅に跳び膝蹴りをしてつく奴、
気圧を小刻みに変動させ膨張・圧縮を繰り返してつく奴、
摩訶不思議な能力で餅に生命を授けて育成する奴など多種多様。
それでは、俺たちは臼と杵でつきましょうか。王道最高。
つき手は吉村さん、合いの手はインド象が担う。
テンポ良くついていこう。
ドン タッ
ドン タッ
ドンドン タッ
ドンドンドン タッ
ドンドンドンドンドン タッ
ドンドンドンドンドンドンドンドン タッ
ドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドン タッ
フィボナッチ数列のリズム。
餅つきを数学的思考でこなそうとするな。
そして、吉村さんの労力よ。相場は交互。
怒涛の13連打で奴の全身が発熱し、
その熱を利用してへそで茶を沸かしている。
あ、沸騰した茶が零れて吉村さんが火傷。ハイリスクノーリターン。
次に、インド象が茶をすする。即時、鼻から火炎放射。餅が黒焦げに。
これこそ茶番。
注)フィボナッチ数列とは、2つ前の数字と1つ前の数字を
足し合わせていくことでできる数列のことである。
具体的には、1、1、2、3、5、8、13、……と続いていく。
漸化式:A₁=A₂=1、An₊₂=An₊₁+An(n≧1)




