第35話 ツアー3日目 夜
理不尽ノ國とも今日でお別れ。寿司屋で最後の晩餐といくか。
『銀河寿司』に邪魔をする。
口コミの星は0。別の意味で期待が膨らむ。
入店と同時に飛んできたのは大将の怒号。
「てやんでえ! 地球人はお断りでい!」
お呼びでなかったようだ。くるぶしを掴まれ直ちに摘まみ出された。
俺たちが店に入れず途方に暮れていると、何やら上空に物体が。
UFOだ! 重厚な装いの2人が光とともに降りてくる。
この顔見覚えがあるぞ。
あ、宇宙で結婚し、その後海王星の王族となった夫婦ではないか。
「君たち、久しぶりだね。
『銀河寿司』に来るのは初めてなのだが、
地球人がお断りなのは有名な話さ。
それすら知らないとはな、ギギギギギギ」
相変わらず笑い声が歯車な奴だ。
夫婦が店の暖簾をくぐる。
「てやんでえ! 宇宙人はお断りでい!」
夫婦はこめかみを引っ張り追い出された。
何が何でも客を入れない意固地スタイル。
これぞぶれない拘り『銀河寿司』。
気が付けば、店前の招き猫も中指を立てていらっしゃる。
こうなれば、二次会だ。月で餅つきをやろう。
俺たちは数あるUFOの中から1台を選んで乗っ取り、宇宙へ飛び出した。
ありがとう、選挙に飢えたゴリラたち。
ありがとう、暴君スープカレー。
ありがとう、出しゃばりDJ村長。
あの夫婦は……知らん。




