第34話 ツアー3日目 昼
インド象の鼻息が吹き荒れるフィールドには、
勇ましい二人の男が向かい合うようにして立っていた。
俺と吉村さん。最も盛り上がる対決の構図であろう。
決勝は2本先取。かなりの長期戦になることが見込まれる。
3回勝負は1本目が肝心だと、祖母に諭されたあの日の記憶を呼び覚ませ。
ダメだ、二人で祖父の両目に黒コショウをかけたことしか思い出せない。
あれが原因で祖父は、祖父は……視力が1.5下がりました。
どうしてくれるんですか。今は20弱しかありません。
15km先にいる高校生の泣きぼくろが全然見えなくなった、
と毎晩嘆いております。
もし読者の方の中に眼科医さんがいらっしゃるのなら、お願いがあります。
パンを一欠片ください。鳩にあげます。
そして、その鳩に乗って、あなたより腕の良い眼科を探します。
ひょっとすると、これが失礼な発言だと思った方がいるのでは。
全くその通りです。謝りま……ジャンケン、ホイッ!
俺はグー、吉村さんはパー! 奇襲失敗。
2本目は三郎の思いを拳に込めて臨む。ジャンケン、ホイッ!
また負けた。敵いやしない。
そして、血圧は測定失敗。暴れすぎたか。
ジャンケン大会は吉村さんの優勝で幕を閉じた。
奴は賞金500万円と8億円分の約束手形を手にし、満面の笑み。
実質マイナスであることは伝えないでおこう。
また、内気な審判ヤスダから大会の総評として一言いただく。
「大会参加者はカットドッグを5つは必ず買ってください。強制です」
悪徳セールスの鑑。




