第31話 ツアー2日目 夜
理不尽な選挙のことは水に流して、夜はキャンプファイヤーでも楽しもう。
ところが、不測の事態が発生。流した水で木が湿り、火が付かない。
度々起こる言葉の物理化現象。口は災いの元とはこのことか。
仕方なし、キャンプウォーターで我慢。濡れた木々の鑑賞会である。
猛烈な退屈に打ちひしがれていた俺を救ったのは、吉村さんの一言。
「ジャンケン大会やらないか?」
やります。
電子辞書にひたすらチョップする時給400円のアルバイトを
任されたとしても……やります。
ありがとう、お母さん。生まれた喜びを今、ひしひしと感じているよ。
1回戦の組み合わせは以下の通り。
俺 vs スミス・J・新村、三郎 vs インド象、
イチバン vs リー夫人、隣人 vs 吉村さん。
初戦から必ず捻り潰さなければならない奴が相手だ。
さらに、これは一発勝負。一瞬たりとも気は抜けない。
ジャンケン、ホイッ! 両者グ―。
あいこで……何っ! 拳が開かない!
スミスの奴、いつの間に接着剤を俺の手のひらに塗ったんだ。
おかげで出せるのはグーのみ。左手は血圧測定中につき動かせない。
これはパーを出されて俺の負けかな。
ホイッ! 俺はグー、スミスはチョキ。
見え見えの接待。もしくはスミスの記憶喪失。
ともかく奴の自滅で俺が2回戦へ。
他の3試合も白熱すること間違いなし。王者の栄冠は一体誰の手に?




