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第27話 ツアー1日目 昼
我々が最初に訪れた観光地は『本音の家』。
この家に足を踏み入れた者は、
意識せずとも心の中で本当に思っていることが口から出てしまうと言う。
下手なことを言えば、またあのチョークスリーパーが。
幼少期の疾風迅雷角妖怪物真似、俗に言う鬼ごっこよりトラウマだ。
地元 太平洋の海中都市ではこの呼び方だったため、
上京時はそれはそれは驚いたものだ。
余談であるが、リー夫人はノーベル平和賞の本来の受賞者だったらしい。
うーん、これも人違いでしょう。
どこからか視線を感じるが気のせいだよな、うんうん。
さて、本題の『本音の家』であるが、とにかく汚らしい。
玄関・居間・台所・無菌室のどこを見てもカビだらけ。
ここは俺の十八番であるお世辞の出番。
「いやぁ、綺麗ですねー」
リー夫人がこちらを睨む。何とか取り繕わなければ。
「本当に神に誓って命を懸けて言わせてもらいます。綺麗すぎるー!」
リー夫人の眼からささやかながらビームが出ていないか。
気のせいだよな、うんうん。シュー。俺の肩がこんがり。香ばしい。




