第25話 天狗はハイセンス
無情にも高度がグングン下がる飛行機。どうすれば。
んあ、発案!
俺は頭髪の中に隠し持っていたルーレットを飛行機の下に回し投げた。
読み通り、上昇気流が発生。機体は大きく持ち上がった。
経験は知なり。華麗な伏線回収。自画自賛で俺は天狗になった、物理的に。
おまけで団扇も手に入れた。だが、柄が気に入らない。
可愛らしいピンクの水玉模様の上に、
『出』『来』『心』の3文字が特大サイズで書かれている。とてもげんなり。
でも、ひとまず機能性が良ければ問題ない。
妖怪 飛行機落としを吹き飛ばしてしまえば万事解決。
おりゃー! 強く扇ぎすぎたかもしれない。
詰将棋で盛り上がるヤスダ仮面とインド象。
重要そうな局面で盤面をウキウキぶち壊す三郎。
その流れを見て腹筋崩壊し、より一層ムキムキになるイチバン。
奴らの愚行には目もくれず、猛練習の末、
カスタネットから世界初の「ズシャー」という音を出すことに成功した隣人。
そいつらをまとめて吹き飛ばす俺。
機体は揺れに揺れ、東京湾に不時着。
湾岸には報道陣の群れが。よく見たら、
ニュース幸せの後番組であるニュース幸福のスタッフもいるじゃないか。
これはまずい。あいつらにバレてしまうと電波ジャックが危うい。
ここで報道陣の前に一人で向かう吉村さん。
奴が背中の大剣を振り抜くと、空間にひずみが生じた。
「さあ、約束通り楽しい場所に行くよ」
この吉村さんの呼びかけの従い、俺らは謎の空間へ入っていった。




