表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

147/150

第147話 偽善者は七色に染める

 「二人分でいくらですか……?」

急遽、吉村さんに奢ることに決まった雪女は、

おずおずとメロンソーダの値段を尋ねた。

「あの店は1杯400円だから、二人分だと200円ですね!」

量と値段が反比例。400杯頼めば、1杯1円換算となる。

商売繁盛 経営破綻。この二つがセットで現れる日が来るとは。


 「今、持ち合わせがこれしかなくて……」

雪女が財布を広げると、そこにははち切れんばかりの貝殻が詰まっていた。

貝殻を貨幣として使える国もあるとは聞くが。

「一応、酒蒸しにはしてあります……」

実があれば100点。現状では20点。俺の栗拾いのテストは毎回0点。

アルコール臭のする通貨が流通し始めたら、国は終わりだ。

「それは困ったなぁ。しょうがない、金が貯まったときにまた行きましょう」

「はい……」

あらら、前途多難。吉村さんはもう不貞寝してしまった。


 ここで、二人を見兼ねた三郎が七色に煌めく貝殻を差し出した。

いかにも高価な代物。これでメロンソーダの代金を払えと?

雪女も目を白黒どころか、赤橙黄緑青藍紫させている。

「まさかこれは……」

偽物だ。数分前に、虹色の蛍光ペンで

無地の貝殻を塗りたくる三郎を俺は見ていた。

「このゴリラでなし!」

雪女の力強いビンタが三郎の頬に飛んだ。

三郎は身のこなしだけで、それをひらりと躱す。

「やるわね……。吹雪……!」

突如、天候が乱れ、雪混じりの風が吹き荒れた。三郎は完全凍結。

再び雪女の手の平が奴を襲う。

「三郎、助けてあげますよ」

蒼龍の呼び掛けと共に、俺たちは強烈な熱気に見舞われた。

これが3秒サウナか。三郎を固めていた氷が見る見るうちに解けていく。

目的不明の大乱闘。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ