第143話 執筆改革
第3層は、曲がり角は多かれど、一見何の変哲もない道が続いている。
数分の間を置いて、二見。未だ何の変哲もない。
三見。四見。五見。過度の反復運動で首を痛めた。
だが、この痛みが安全性の何よりの証拠。そろそろ渡って良さそうだ。
成金となったからには、道にレッドカーペットを敷き、
その上を踏ん反り返って左足の土踏まずだけで歩こう。
そう思った矢先、前方から十二右衛門がミサイルの如く宙を飛んで襲来。
十二右衛門は十二右衛門で、12束のちょんまげから
カラフルな炭酸の液体を放射している。これぞ変哲。
こういうときは無理にでも笑うに限る。ギギギギギ。
大変だ、海王星の王族夫婦がやる笑い方に釣られてしまった。
奴らは月上UFO爆発事件以後、降り着いた無人島で
求人情報会社を立ち上げたと聞いている。
倒産待ったなし。自ら事業を起こす姿勢には感心するが、場所は選んだ方が良い。
「フガフガモへへ」
十二右衛門は歯の無い口を一生懸命に動かして、
ミサイルとなった理由を弁明しているに違いない。
ここで俺は、発音や抑揚、アクセントなどを
鋭敏にした感覚を基に聴き取り、自分なりに翻訳していく。
「フガフガモへへ」
高い高い高い。英語に直せば、相槌になる。
俺の発する言葉の翻訳はセルフでどうぞ。
そして、作者の負担を減らすため、
これを機会に読者との分業制を導入するつもりである。
理解し難い文章が出てきた場合は、是非ご自分で翻訳を試みてほしい。
なるほど、翻訳完了。十二右衛門はこう言いたかったようだ。
「フガフガモへへ」




