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140/150

第140話 俺、悪戯っ子

 俺以外の鼻の穴にスライムを詰めて密閉するという条件の下、

何とか同行許可を得た。

臭いの大本を処理する方が恐らく速やかに事が進むと思われるが、

どうしてもスライムを詰めたかったのだ。

そのスライムにジョロキアを練り込んでいたことは、

皆のダンサーのような暴れっぷりでお分かりいただけるだろう。

悪戯っ子でごめんなさいね。フフフフフフ松フフフ。

『ワ』や『ウ』ならともかく、『松』は『フ』に似ていないか。

『松』をどうにか『フ』の群れに紛れ込ませようとしたが、

これほどまでに片仮名の中にある漢字が異彩を放つとは。正直侮っていた。


 思い思いのサングラスを掛けた俺たちは、第2層を縦横無尽に駆け回った。

一本道なのに。無意味に体力を消耗するだけなのに。

吉村さんは童心に帰って麻雀と盆栽鑑賞を嗜んでいる。

大人の娯楽の代表格を幼い頃から究めていたのか。立派な英才教育である。


 おっと、第2層の番人がわざわざ向こうから迎えに来た。

これだけ到着に時間のかかる挑戦者は珍しいようだ。

「中々来ないと思ったら、こんな所で道草を食っていたのかい。

 まぁ、いい。今回の課題は『仇討ちについての論文』だ」

二回目にして、もう小説の枠を超えた。

当然、俺は仇討ちには精通していない。

となると、ここは三郎が適任。

奴は象形文字の第一人者。きっと奇跡を起こしてくれると信じている。

ゴリラと言えば論文、論文と言えばチンパンジー。

あれ、相互関係が結ばれていない。

そんなことお構いなしに書け、三郎!

『**********~~~~~~~~~~』

引っ込め、三郎!

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