第134話 サングラスを作ろう(前編)
第2層は第1層から一転して、照明が目を傷めるほど強い。
この状況下においては、サングラスが必須となるだろう。
しかし、地中から偶然頭を出したモグラから奪い取るのは非合理的。
近頃の奴らはレーシックで直接、眼球に日光遮断加工をしていると聞く。
確実にサングラスを手にするには、自分で作る他ないわけだ。
二枚の韓国のりを目に当てて「食用サングラスにゃ」と言い張る
イリオモテヤマネコはともかく、誰一人として作り方を知らない。
レシピを取得するところから始めなければ。
こういうものは、どう考えても関係なさそうな本に
書かかれていることが意外と多い。
その理論に従い、『超能力者への差し入れは絹ごし豆腐にすべし
~新社会人が絶対に知っておきたいオカルトマナー12選~』を開く。
目次が無いようなので、1ページずつ丁寧に読んでいくしかない。
表表紙。背表紙。読破。
中身は別売りでした。極めて商売上手な著者であるな。
まさかと思い、著者の名前を確認すると、そこには安蛇の名前が。
トリリオンセラーという嘘みたいな謳い文句に
俺が踊らされているだけかもしれないが、これで奴は印税暮らしか。
……ん、トリリオン?
ミリオン(100万)でもなく、ビリオン(10億)でもなく、
トリリオン(1兆)!?
この本が万人に受けるはずはないのだから、
俺以外のどなたかが999,999,999,999冊購入していることは明白だ。
お、ポップ下部に唯一の読者コメントが掲載されている。
「表紙だけで大満足!(5歳・女性)」
サクラ確定。




