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第122話 埴輪四刃輝!!

 吉村さんはハリセンを血気盛んに振りかざす。

奴が握りしめているそれは、日光を受けて混じり気の無い白色に輝いていた。

十中八九、埴輪をしばくつもりだな。


「埴輪四刃輝(しばき)!!」


出た、『最我異(モアイ)切斬(スラッシュ)』以来の当て字大技。

パーンッ! 気持ちの良い打撃音。

ネバー。気持ちの悪い納豆の粘つき。

ハリセン攻撃をくらった埴輪デーモン7世の頭部には亀裂が入り、

割れ目は瞬時に奴の足裏まで到達した。


グォォォォォォォォォォ!!


倒せたか? ここで、車掌がした、あの忠告が思い出される。

「埴輪をしばかないようにご注意ください」

大変だ。しばいてしまったぞ。もう手遅れかもしれない。


 頭もろとも崩れ落ちた埴輪のもとに、

その後ろから別の茶色の怪物がやってきた。

土偶だ。埴輪デーモン7世の師匠 土偶デーモン6世に違いない。

弟子を壊された恨みが奴の鋭い眼差しから溢れ出ている。

激昂する土偶は、無言で目からビームを出した。

その標的は……吉村さん!

奴は空中にいるため、自由に身体を動かすことができない。

しかし、俺も奴とはかなりの距離がある。どうすれば。

俺は諦めた。自分で立ち上げた新興宗教の念仏を唱え、

吉村さんを生前成仏させておこう。


ボスッ! シュー


「ビームごとき、段ボールの敵にはなり得ません」

またもや市川さん! 何と、段ボールで全身武装した奴が、

吉村さんとビームの間に捨て身で割って入っていた。

細部まで切れ込みの入った鎧を脱ぎ捨て、市川さんは言い放つ。


「もう母さんの好きにはさせませんよ」


複雑な家庭。

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