第120話 グォォォォォォォォォォ!!
犬は何という文を俺に読ませようとしていたのだ。
危うく人権を失うところであった。
やはり詐欺師トリオにはお灸を据える必要があるな。
いでよ、直径4mの巨大ライター。
何にでも火をつけたがる花野美代子から、特別に譲り受けた粗悪品である。
人によっては、押し付けたと見る人もいることだろう。
大正解。奴の立場を尊重して柔らかい物言いをしたが、
実際は害悪市長で……盗聴の危険性を考慮し、愚痴はこれぐらいに止めておく。
とりあえず着火だ。動物園を焼け野原にしてやろう。
あれ? つかない。流石は粗悪品。
つかないのなら、ついたと思えばいい。自己暗示は昔から得意な方である。
時間差でライターが爆発を起こし、
吉村さんと三郎、そして俺はノベラビ列車の屋根上まで飛ばされた。
脚色なく痛い。どうにかならないものか。
いつまでも痛みに慣れる見通しは立たない。
その頃、まっさらになった類人猿コーナーの深層部で、
ギャンブル動物園の主 埴輪デーモン7世が爆発音を聞いて目覚めていた。
グォォォォォォォォォォ!!
俺の腹の鳴りが酷い。
月で食べた黒焦げ餅が3分前までは腹に残っていたはずなのに。
グォォォォォォォォォォ!!
吉村さんもか。
花野美代子から押し付けられ……いや、貰ったマカロンがあるから食べるかい?
ふにゃあ。あ、腐っている。またもや粗悪品。
マカロンが駄目なら、納豆はどうだ。
発酵食品が腐敗することは、そうそうないと思われるが。
「やぁ! 僕は納豆。美味しく食べてね」
腐りすぎて、生命が宿っている。




