第119話 変動性モーニングルーティーン
詐欺師トリオの中では、犬が頭一つ抜けて優秀であると改めて分かった。
奴をどうにかせねば、インターネットを安心して利用できない。
「先生、次の文は漢字だらけで僕には難しそうですワン。
お手本の読み方を聴かせてくれませんかワン?」
こいつ……俺を試してきてやがる!
賢い犬にとっては、いかなる奇文でさえ読み切るのは朝飯前。
吉村さんのモーニングルーティーン
6時00分 起床
6時15分 洗顔
6時30分 洗岩
6時45分 三郎にエサやり
7時00分 朝飯
30代男性の朝飯前までを知らせる関連広告が出てきたので、スキップ。
犬は今さら屈服するような小心者ではないだろう。
必要以上に言い間違いを律したことが、まさか最後に自分の首を絞めるとはな。
さぁ、待ち受けているのは一体どんな難文なんだ?
吉村さんのモーニングルーティーン
6時00分 起床
6時15分 洗岩
6時30分 洗顔
6時45分 三郎にエサやり
7時00分 朝飯
注目の場面で同じ広告を入れてくるな。
いや、細部まで見渡すと、同じではなかった。
洗顔と洗岩の順序が逆になっている。
順序が毎日同じでないのなら、ルーティーンとは言えない。
さぁ、待ち受けているのは一体どんな難文なんだ?
吉村さんのモーニングルーティーン
6時00分 朝飯
6時15分 朝飯
6時30分 朝飯
6時45分 朝飯
7時00分 起床
朝飯が力士の昼飯の量。
力士が大抵朝飯抜きで稽古をするため、例えが煩雑になってしまった。
眠りながらの食事は大変そうですね。
ということで、待ち受けていた難文がこちら。
『私は世界一のクズですが、唯一バナナだけは食べることを許されています。』
読めないのではない。読みたくないのだ。




