第118話 俺立バナナ学園 1時限目
「くれぐれも裁判長様を取り返そうなどという
変な気は起こさないでくださいねぇ」
妖怪 のっぺらぼうはそう勧告し、檻の中から姿を消した。
せめて周辺の片付けを手伝ってから雲隠れしてくれ。
三郎が食べ散らかしたバナナの残骸を掃除するのは、俺たちの役目なのだ。
……バナナ? 今、俺は”バナナ”と言ったか?
他の人に聞いてみよう。
吉村さん、俺は数秒前に”バナナ”と言っていたか?
「言ってないよ!」
言っただろうが! 法螺を吹きやがって!
以上、二人とも悪い。
実際は”バナナ”に確信を持っていながらも鎌を掛けた俺は当然悪いし、
なぜか口から出任せを言った吉村さんも等しく悪い。
このような展開を『理不尽』と呼ぶので覚えておくように。
ついでに、バナナに纏わる格言を誰かに暗唱してもらおうか。
数日前に教えたばかりだから、記憶に新しいはずだぞ。
では、イリオモテヤマネコ君、どうぞ。
「バナナを4本集めると、ババナになりますにゃ」
間違えたので、停学。全く惜しくない。
俺立バナナ学園の生徒は完璧でなくてはいけないよ。
皆、一字一句習った通りに言ってくれよな。
では、長老ウサギ君、どうぞ。
「”バナナ”と”ババナ”は違い、”バナナ”と”バナナ”は同じであります」
話にならない、退学。それは誰の戯言だ?
些細な言い間違いが後々の人生に大きな影響を及ぼすこともある。
そのことを肝に銘じて、慎重に暗唱してくれよな。
では、犬君、正解をどうぞ。
「わんわんわんバナナあなんなあんなんあなあワン」
よくできました。1時限目はこれにて終了です。
健全ボーイレッツゴー! 埴輪をしばくあなたが好き~
あの歌はチャイムだったのか。




