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112/150

第112話 救出劇

 それ以来、奴らとは音信不通になった。


                    完







 全にしてやられたな。心を(えぐ)るような喪失感が俺を襲う。

おい、『完全』が分断されて、話が終わったような感じになっているではないか。

作者がしっかりしないで、誰がこの作品を纏められる?

顔を洗って出直してくるんだワンワン。


 犬の言葉の受け売りで作者を戒めたところで、診察シーンに移る。

プリンセス椿の体力がそろそろ限界を迎えてしまいそうなのだ。

市川院長、お願いします。

「椿ちゃん、よろしく。じゃあ、旋毛(つむじ)診ていくね。はい、いくよー」

あなたの捻挫はどこから? あちきは旋毛から。

この問答を省いたがために、市川院長が変人のように思われてはいないか。

「特に異常はなさそうだけどねぇ」

そうでしょう。ご迷惑をおかけしました。

「患部に包帯だけ巻いておいたよ。

 簡単な処置しかしていないからね、診察料はいらないよ。

 気を付けて帰りなさい」

正真正銘の聖人だ。彼に後光が差しているようにまで見えた。

「地獄へな!」

正真正銘の狂人だ。市川院長がプリンセス椿に向かって機関銃を連射。

捻挫中の椿は反応がかなり遅れている。

俺が助けるのも間に合わないだろう。どうすれば。


ドスドスドスドスドスッ! シュー……


「段ボールは人も守れる最高の素材です」

市川さん! 何と、段ボールで全身武装した奴が、

プリンセス椿と弾丸の間に捨て身で割って入っていた。

はだけた鎧を脱ぎ捨て、市川さんは言い放つ。


「もう父さんの好きにはさせませんよ」

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