第110話 反撃開始
だ、騙された……!
俺の頭が真っ白になっている間に、
長老ウサギとイリオモテヤマネコは病院を出て、全力疾走で逃げていった。
あいつら、グルだったのか。人間の言葉を話す動物は信用ならない。
けれども、追いかけるよりもまずは、この詐欺メールに対処しなければ。
返信できっちり復讐してやる。
『親愛なる詐欺師様へ
この度は騙してくださり、誠にありがとうございます。
入会費149,800円を只今、お支払いしました。
よろしければ、明日に開催される”筋肉べたべたタッチパーティー”に
いらっしゃいませんか? ちなみに、吉村さんもゲストとして
お呼びする予定です。ご検討のほど、よろしくお願い致します』
”筋肉”と”吉村さん”という、奴らが反応しそうなワードを
文章中に入れてみたが、食いついてくるかどうか。
瞼と首にハバネロを練り込む~ 嗚呼、めでたい~
俺のPHSの着信メロディが鳴った。返信が来たようだ。
『騙された馬鹿野郎様へ
え、私の上腕二頭筋も触ってもらえるのですかにゃ?
できることなら、大胸筋なんかも……吉村殿も参加されるですって!?
色々とお話したいことが……広背筋モリモリ……吉村殿最高!
……是非行きますにゃ……勿論参ります!』
メールの中身ぐらいは、譲り合って落ち着いてくれ。
だが、ここまで計画通り。目には目を詐欺には詐欺を。
いよいよ偽のURLを添付したメールを送信。
『親愛なる詐欺師様へ
参加表明、承知致しました。
パーティーの詳細が書かれたホームページへのリンクを貼っておきます。
https://koreni/hikkakaruyatsuha/sotonabakadana』
反撃開始だ。




