表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

106/150

第106話 マッチョお断り(前編)

 マナーポリスの標的が俺からリゲルマンへと変わったため、

悠長に病院を探すことができる。

「私をただの月のウサギとお思いでしょうが、

 品行方正タウンこそが私の生まれ故郷なのです。

 少しくらいであれば道案内もできますよ」

それは非常に助かる。どうか病院まで頼む。


 長老ウサギは、達者な喋りと共に案内をしてくれている。

「私がこの街から引っ越した経緯は、

 Webで調べていただければ4ページ目くらいに出てきますので、死に際に是非」

冥土の土産がそれでは閻魔に殴られる。

東京ヨシムランドまで遊びに来たフィリピンのバナナ農家集団の

入場パスをシュレッダーにかけた俺が、天国へ行ける訳がないからな。

「検索する際は、『ウサギ 悪行 追放 月流し』がよろしいかと」

これで興味を惹かれない人はいない。2ワード目から俺は高ぶっているぞ。

シュレッダーの件に戻るが、ハサミを使って手作業で丁寧に切り刻んでいれば、

丸く収まった気もしなくはない。機械には出せぬ人間の真心、尊い。


 「着きました。こちらが市川医院でございます」

市川? 市川さんと何かしらの関係があるかもしれないな。

早速、中に入ろう。まずは整理券を取って……

ビー! 警報装置が鳴ってしまった。

「その整理券はダミーですにゃ。

 ちょっと、奥の部屋まで来てもらえますかにゃ?」

強面で筋肉の隆々とした、二足歩行のイリオモテヤマネコに声を掛けられた。

今は、特別天然記念物でさえ言語を操る時代か。


 奥の部屋に移ると、イリオモテヤマネコは入口の南京錠を閉めた。

密室にマッチョ。危険な香りがしてならない。

「私の上腕二頭筋、触ってみますかにゃ?」

いいえ、結構です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ