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異世界演芸場へようこそ  作者: 日向 晃
素人ウナギ
9/21

(1)

高座をおりて、袖に戻ってくると嬉しそうにマリーちゃんが出迎えてくれた。


「師匠!すごかったです。私、感動してちょっと泣いちゃいました。」


恥ずかしいような嬉しいような・・


「ありがとう。」


そうマリーちゃんに言うと、そのあとピロリが


「初舞台祝いで、飲みに行きますか。」


といってくれたので、おススメの店に連れて行ってもらうことにした。


俺とピロリとマリーちゃんに、仕事終わりの三太夫さんも合流して

ピロリのおススメの店へと向かう。

日暮れまでは、まだ少し時間があるというくらいの時間だ。


「何食べさせてくれるんですか?」


そう聞くと


「こっちにも美味いウナギを出す店ができたんだよ。」


そういってその美味さを語るピロリ。


「異世界から来た人がやってる料理屋は大概美味いですね。」


とは三太夫さん。


「こっちの地元料理は、マズいからなぁ。」


怖い怖いとピロリ。


「味というものが全然しないか、あるいは大雑把で適当か。食えたもんじゃない。」


こういうあたりは、異世界グルメ小説の通りなんだなぁと思ったり。


「どんな店がこっちだと流行っているんですか。」


「なんでもあるよ、居酒屋にカフェに最近じゃ、ファミレスもできた。

 最近は、皇族の料理長も異世界から来たやつになったって話。」


食の話になると、舞台上よりもさらにイキイキとしているピロリ。

まぁ、デブの行く店は美味いなんてことはよくあることだけども。


「ウナギ楽しみだなぁ。」


そういって同時に、ペロリと舌なめずりするマリーちゃんと三太夫さん。

その舌なめずりの仕方がそっくりで兄妹なんだなぁと思う。

このあたりは、やっぱり猫なんだよな。


そんな他愛もない話をしながら、すっかり日が暮れた帝都の中央通りから少し

横道を外れると「異世界横丁」と書かれた看板が目に入った。

(この世界の文字で書いてあったので、三太夫さんに読んでもらったのだが。)


異世界横丁は、実に雑多なところだった。


おしゃれなカフェもあれば、ハンバーガーショップ、フランス料理店、お袋の

味を売りにした定食屋、ラーメン屋など色々とある中でいかにもなのれんを

掲げたウナギ屋が目的の店だった。


「素人ウナギ」


えっ、どんな店名よ・・


「名前にびっくりするだろう。でもね、美味いんだよ。」


そう言いながら、のれんをくぐるピロリの後をついて店に入ると

テーブル席と奥には座敷がある。

座敷にあがると和服の黒髪美人といった感じのおかみさんが注文を聞きに来た。


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