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前回の話は、「チート能力」身に着けたんだよ!
凄いだろっていう話をしたかったわけですが。
そもそも「チート能力」の話なんて聞いてないよ。
マリーちゃんはどこいったんだよって方も多かったと思います。
安心してください。
その話をするためにも、「チート能力」の話をしておく必要があったんですよね。
転生して、「初舞台に行きますよ」とマリーちゃんに手を引かれて、
何なら軽く手握られて、帝都の劇場に二人で向かっていたわけです。
マリーちゃんの手、元が猫だからか手の平に肉球の跡みたいのがあって、
女の子の柔らかさと肉球の柔らかさを併せ持った極上のプニプニ感だったりするのです。
「素敵だな、この街」
なんて、帝都の華やかさに浮かれてみたりして、マリーちゃんも
「さすがは華の帝都ですね。」
と目を輝かせていたりと、軽くデート気分で劇場に向かっていたものだから
「幸せだなぁ。」
なんて思っていると
「気持ち悪いやつじゃのう。」
なんて人の心を読んで話しかけてきたのです、閻魔の野郎が。
マリーちゃんと話をしているというのに、頭の中でさっきのチート能力の説明を
始めるものだから、せっかくのマリーちゃんとの初デートの会話の中身はほとんど
覚えていなくて、手の柔らかさしか記憶にないわけです。
そうこうするうちに、帝都劇場に到着。
演芸場というよりは、完全に歌劇場です。
始めて観たときの感想は、きっとモーツアルトとかの時代の歌劇場って
観たことないけどこんな感じなんだろうなって妙な感動をしたっけ。
そんな感じで、建物を眺めていると、入り口付近に立っている衛兵にマリーちゃんが
手を振っている。
「お兄ちゃん、この人が師匠よ、私を助けてくれた。」
そういって、マリーちゃんは、その衛兵に俺を紹介したのです。