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SELECT  作者: ビギナー
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第1話「幕開け」

人間は[人生]という長い長い道上を歩いている。その道は行く先々で何本かの道に分かれている。人々はそこで迷い立ち止まる、そして選び歩いて行く。果たしてその道の向こうに待ち受けているものは天国か地獄か・・・

 〜西暦2510年現在〜

 今俺はその最大の分かれ道に立っている。

「死にたくない、死にたくないよう。」

俺は立ち止まり震えた声でそう囁いた。

「右だっ。右に行ったら安全だぞ。俺は答えを知ってるんだぞ。」

今叫んでいるのは俺の全く知らない奴。ただ俺とこいつが共通している事がある。二人とも16歳という事だ。今俺達がやっているのは死ぬか生きるかを決める人生最大のゲームである。なぜ俺がこんな場面にたたされているかというと、この世にはこのゲームに参加しないといけないというルールがある。このルールはずっと昔にできたルールらしい。昔環境問題という言葉が飛び交っていた時代があった。

 〜200年前西暦2010年〜

 この時、地球は破滅の危機に面していた。

「このままじゃ本当に地球は危ない。」

世界各国の代表達がある会議室で会議を行っている。

「このままいくと地球は破滅するぞ。ECO対策などやっているがあんなの人々はちっとも理解しちゃいない。今地球が面してる危機の重大さに気付いてすらいない。」

ある国の代表が声を上げている。確かにこの当時[ECO]という地球環境を守ろうという対策があったらしい。その対策に人々は目を向ける事もなく、少数の人々しかその活動を行っていなかった。しかしそれでは全く意味が無い。

「この世には人間が多すぎる。」

今までずっと黙っていた一人が言った。その発言に皆がある代表へと目を向ける。その発言者とは日本代表である。

「ここまで地球を追い込んだのは人間、人間が多すぎたからと思わんか。それならば簡単だ。人間を減らせばいい。」

室内がざわつきはじめる。当然の反応だ、人間を減らすなど聞いたことが無い。

「人間を減らすと言いますと。」

ある国の代表が質問する。

「単純な事だ。どの道この世は終わる。人間は絶滅する、どうせ絶滅するのなら今から消してしまえばいい。人間が減れば地球環境も現在のままを維持できる。いや、良い方向に進むかもしれん・・・」

確かにそうかもしれない、この世の人間が半分に減ったらどうだろう。地球にもたらす影響も半分になるという事だ。でもこの発言には賛否両論が飛び交う。でも仕方が無い事、納得せざる終えない事、地球を救うには嫌でも犠牲者がでる。会議を重ねるうちに反対していた者も次々に賛成へと意見が変わる。ついに世界がこの計画に一致団結した。その計画とは・・・

 【人間削減計画】

 削減をすると言ったって減らすのは人間だ、どう減らす。皆も疑問に思うかもしれない。今から君必要ないから死んでくれと言ったって納得するはずも無い。そこで考えられたのが死ぬか生きるかを決める人生最大のゲーム、[SELECT]だ。SELECTのルールを説明しよう。

 〜SELECT〜

 ・SELECTは500年に1回開催される地獄のゲーム、ゲーム自体は実に単純で簡単である。このゲームは2人対戦10回戦まである、ゲーム内容は各戦い事に2つの選択肢を提示される、それを選びその先に待つのは天国か地獄かという実にシンプルなゲームである。これで1/1024もの人間が削減される。

・SELECTは14歳以上からの参加となる。

・SELECTは年齢別、男女別に行われる。同じ年に生まれたもの同士で競い合う。

・SELECTから逃げ出そうとするものはその場で殺される。参加せざる終えないゲームである。

・SELECTは10年間ある。一回戦につき1年、一試合制限時間1時間掛けて行われる世界最大のゲームである。

 〜西暦2509年12月24日〜

 今日はクリスマスイブ。俺、水嶋聡史は彼女とイルミネーションが輝く街の中を歩いている。

「いよいよ来月始まるね・・・」

井上可奈は高校で俺と同じクラス、付き合って3年目になる最愛の俺の彼女である。

「だな・・・」

街はクリスマスイブというのに静かである。来月から始まるSELECTの影響だろう。

「絶対生きて帰ってきてね。」

今日はせっかくのクリスマスというのにその話題ばかりだ。

「せっかくのクリスマスだ、そんな話やめろ。」

可奈の気持ちは分からなくも無い。実際俺も不安でたまらなかった。小さい頃は死ぬことなんて恐くない、SELECTなんて余裕だと強がっていたが、こんなにも死が近づくにつれて不安になるものとは思っても無かった。

「だってこんな時代に生まれてなきゃ死ななくてよかったんだよ。」

可奈は涙ぐんでうつむく。

「まだ死ぬと決まったわけじゃない。不吉なこと言うなっ。」

「そうだけど・・・」

可奈につられて俺も涙ぐんできた。

「それにこの時代に生まれてなければ可奈と出会ってない・・・」

言った瞬間恥ずかしい事を言ってしまったと少し後悔した。

「クスッ」

うつむきながら可奈が少し笑みをこぼした。なんだかちょっとホッとした。この笑顔最近見れて無かった。もしかしたらこのまま見れないまま死ぬかもしれないのかと少し不安になっていたからだ。せっかくのクリスマスだ、とりあえず今日はSELECTの事なんか忘れて楽しもう。これが最後のクリスマスになっても後悔のないように・・・

〜西暦2509年12月31日〜

コタツに包まりテレビをぼんやりと眺めていた。毎年恒例の歌の番組、テレビの奴らはあと数時間後に死のゲームが始まるというのによくこんなに笑ってられる。きっとプロ根性なのだろう。俺にはそんな根性無い、何も考えずコタツに包まっているのが精一杯だ。母もずっと元気がない。説明し忘れたが、家は母一人、姉一人の3人家族である。父は昔出て行ったらしい。

「聡史ごめんね・・・」

母は今日はその言葉ばかりだ。

「だから気にしなくていいよ。母ちゃんが悪いんじゃないんだから。」

「聡史ごめんね・・・」

もう相手にしない事にした。だいたい2510年1月1日なったからと言って、かならずしもすぐにSELECTが始まるわけではない。家に参加者の名前と日時、参加会場が書かれたハガキが送られてくるらしい。それはいつ送られてくるか分からない、2ヵ月後か1年後かもしかしたら明日になるかもしれないのだ。それを俺らは待つしかない。気が付くとカウントダウン1分前になっていた、テレビでカウントが始まる。

「10・9・8....3・2・1・0」

いつもと何も変わらないカウントダウンだった。ただ一つ違うこと、この秒読みが、年が明けるのと同時に死のゲームへの幕開けとなる。

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