13冊目 裸の付き合い
ショウの目の前に運ばれてきた夕食はとても豪華だった。外に見えるミネアの町は、昼のことが嘘のように静まり返っていた。
「……寝起きでこの数?」
「頑張ってくださいご主人様。食べることも仕事です。お風呂の準備もできているそうなのでこれが済みましたら参りましょうか」
「フィアはいらないの?」
「私はもう済ませておりますのでご心配なく」
ショウは頑張って食べた。今日は何も食べていないのと、料理がおいしかったのもあって、一人で食べきれる量ではなかったが苦にならなかった。
しばしの休憩をはさんで、部屋を出た。
ショウが寝ている間フィアはこの館でメイドとして働いていたとのこと。それもあって館の案内に迷いはなかった。
「このお部屋が脱衣所です。その奥にお風呂がありますのでごゆっくりおくつろぎを」
「一緒に入る?」
「場所をわきまえなさい!私たちだけではないことをお忘れですかっ!!」
それはフィアのマジ怒りボイス。
「ん?ショウとノロか。今から風呂か?」
それは廊下からやってきたケレス。その後ろにシントウアツの姿もあった。
「偶然ですねケレス様。ショウ様もご一緒してもよろしいでしょうか?」
「それは別に構わんが……ショウはいいか?」
『フィア、計ったな?』
『なんのことでしょうか?ここではノロですのでお間違いなく』
フィアはすっとぼけた様子だったが、完全に作為に満ち溢れていた。
「私となんかでいいのですか?」
「とりあえずその口調は止めろ。自然に話せ――めんどいからこいっ」
ケレスに引っ張られる形で、ショウは脱衣所に連れていかれた。
風呂は泳ぐにも事欠かないほどの広さだった。そんな中にポツンと二人の男。風呂に浸かるショウとケレスの会話は驚くほど弾み、仲が一気に深まっていた。ショウの心配し損だった。
「シンたちの見分け方なんてあるのか?」
ショウはいまだに見極められていなかった。
「基本は口調だが、あいつらバストとヒップとウエストラインがそれぞれ1cmずつ違うんだよ」
「……変態か、ケレスは」
ショウもこれにはドン引きした。でもメイドのことをそこまで知っているケレスは凄いとも思った。ショウはフィアのことをほとんど知らないから。
「変態でもなんでもいいわっ!――それにしてもよかったよ、ショウは普通に接してくれるやつで」
「普通?こんなんでいいの?」
「ああ。――おーい!そろそろいいぞ!」
ケレスはそう大きな声でドアに向かって言った。するとドアからシントウアツが素肌をお披露目に来た。白いもので前は隠れていたが。
「うわあぁ~~」
ショウは慌てて背を向けた。風呂のお湯以上に熱いものがショウを襲った。
「な、ななな、なんで入ってきてる!!」
「呼ばれたからだけど?」
「子供には刺激が強かったか?」
「初なショウ様も素敵です」
「お、おれは出るから!!」
一目散に出口を求めて風呂を飛び出した。シントウアツの姿などショウの目には入ってこなかった。
「はぁはぁ……フィア!」
脱衣所で怒鳴りつけながらフィアを呼んだ。
廊下のドアが開くとフィアは顔が赤く変化したのを確認できた。ドアは勢いよく元に戻された。
「ご、ごごご、ご主人様!!前っ!前を隠してからにしてください!!」
「……なんであんなに恥ずかしがるんだ?」
ショウはなんとなくだがフィアの気持ちが分かるのは着替え終わってからだった。
ケレス達が上がってくるまで廊下で待っていた。シントウアツはすぐに戻ってきて、その後にケレスが上がってきた。
「いやいや悪かったなショウ。でももう18だろ?」
「そっちはまだ23だろ!!しかもメイドに手を出すなんて……」
「別に手を出したわけじゃない。お前を驚かせようと……なぁ」
「そうなの?」
シントウアツはコクリとうなずいた。
「それよりもね~ショウくんたちにも合わせたい人がいるの。今からいいかな~?」
昼間に寝たことで夜になっても目が冴えていたショウはフィアに確認して行くことに決めた。
「案内する。ついてきてくれ」
シントウアツに連れられる形でショウは廊下を突き進んだ。
連れられたのはショウたちの部屋から見て真ん前の部屋だった。
ノックのする音が飛んでいき、返事が戻ってきた。
「……女の子の声だな」
「ちょっとびっくりするかもね~」
「普通はそうだ」
「私たちの師匠です。背は小さいですけど」
そのドアは思い切り開かれた。
「ああっ!今日の朝に会った……」
それはショウにとって初めて外で会った人物がそこにはいた。
「なぜ<リーエ>様がこちらに!?」
「!!お姉さまこそ、なぜこちらに!?」
それはフィアにとっても衝撃の出会いだったようだ。




