#君僕幸せの間に好きな言葉を入れると性格がわかる
かくどんにぽいぽいしてた小ネタ。
タグで遊んでみたかった。
各種取りそろえております。
「君が僕のことを覚えていてくれるだけで幸せだから」
※健気系
世界を救うことと、君を護ることは同じだった。ソレを知っているから、僕は迷いなくこの道を選んだ。何度でも、何度でも。きっと僕は、この道を選ぶだろう。他に道があると告げる言葉を押さえつけ、僕にとって一番意味のあるこの道を。
「どうして?」
泣きそうに笑った君の顔を覚えている。そうだね。何でだろう。どうして、世界のために死ねと言われて、死ねるのだろう。けれど僕には解っていたんだ。僕がこの道を選ばなければ、世界と引き替えに死ぬのは君だった。それなら、僕が選ぶのはこの道だけじゃないか。
君が生きていてくれるなら。笑ってくれるなら。君が、僕を覚えていてくれるなら。僕はそれだけで、幸せだから。
だからどうか、泣かないで。笑っていて。僕の命と引き替えに救われたこの世界で、君はどうか幸せになって。君がその心の片隅に、僕を残してくれるだけで、僕は本当に、幸せだから。
さようなら。誰より愛した、愛しい君。
『滅ぶ世界の礎になった少年とそんな彼に愛された少女の話』
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「君と僕の幸せを求めるのは当然だろう?」
※物理で全部ぶっ飛ばす系ハッピーエンド
「いやいやいや、邪魔するなら全部ぶっ飛ばすって、俺、言ったよな?」
にこやかな笑顔で笑った赤毛の少年に、その傍らに佇んでいた銀髪の少女はため息をついた。アンタねぇ、と彼女が小言を口にするより先に、少年に吹っ飛ばされた人々が立ち上がり、襲いかかってくる。
「だぁから、邪魔すんなってーの」
笑って、少年は男達を蹴り飛ばした。細身に見える身体から繰り出される、信じられないほどに強力な一撃。にんまりと笑ったその唇から覗く尖った犬歯に気づいているのは、傍らの少女だけだ。少年が全てを吹っ飛ばすのを、彼女はため息をついて見ているだけ。止めることはしなかった。
「この脳筋。もっと穏便に出来ないの?」
「何言ってるんだ。穏便に話し合いなんてしてたら、俺もお前も殺されるだけだろ?」
そんなもんはごめんだね、と朗らかに笑う少年に、少女はもう一度ため息をついた。アンタらしいわ、と呟いた言葉は、けれどどこか諦めと幸福を孕んでいた。
少年が掴んだ少女の手には、銀色の鱗が輝いていた。
『異端の烙印を押された二人の子供が、幸せになるために逃亡するお話』
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「君に僕の幸せを決める権利などありはしない」
※相容れない者同士のプライドのぶつかり合い
「何をもって君は私の幸せを定義するのだね?」
面倒そうに呟いて、青年はズレた眼鏡を直した。馬鹿馬鹿しい、と青年は言葉を続ける。その顔に浮かぶのは冷淡な無表情だった。整った顔立ちをしているだけに、余計に酷薄に見える。
「自ら苦しい道のりを歩まれる必要も無いかと」
対する青年もまた、どこか慇懃無礼だった。装いは派手だというのに、不思議と地味な印象を受ける青年だった。或いは、万物に溶け込みすぎるというのか。同時に、他人に警戒されないという性質も宿しているように見えた。
「苦しい、と決めつけられたくはないのだが」
「貴方の歩む道は苦難に満ちていましょう。何故、抗うのです?」
もはや貴方以外に抗う者などいないのに、と諭すような言葉は実に優しく響いた。声音と相まって、穏やかにすら聞こえる。
けれどその声を、青年は拒絶する。優しさの仮面を被った懐柔など、彼には侮辱に等しかった。
「君たち如きに、私の生き様を決められると思うなよ」
不敵に笑ったその顔は、最後の貴族と称される男に相応しかった。
『革命の成りつつある国で、抗う貴族の最後の誇り』
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「君が僕を幸せかと聞くならば、そうだと答えようか」
※素直になれないひねくれ者
「貴方は今、幸せかしら?」
柔らかな微笑みで彼女が問うてくる。その微笑みは幸せに彩られている。あぁ、なるほど。君は幸せで、だから俺にも同じように幸せかと聞くのか。実に優しく穏やかで、……そして、どこまでも残酷なお嬢さん。
「ふむ。幸か不幸かを問われれば、不幸では無いので、幸福ということになると思うがね」
「貴方は相変わらず難しい言い回しをするのね」
「何、性分だよ」
笑った俺に、彼女は困ったように笑う。けれどその笑みは、穢れを知らない幼い娘のようなままだった。相変わらずだ。彼女の目に映る世界はどこまでも優しくて、温かくて、平和なのだろう。世界全てがそうだと信じているほどに。
それが、君の幸福を守るために戦った男に対する言葉かね。喉元まで出掛かった言葉を、必死に飲み込んだ。それを口にするのは、俺の自尊心が許さない。
幸か不幸かで問うならば、俺は間違いなく不幸なのだ。……そうだろう?愛した女を友に奪われた男など、滑稽な愚か者に過ぎないだろうから。
『戦場の英雄は、その名と勝利と引き替えに、唯一愛した女性を失った話』
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「君と僕は幸せになることは許されない共犯者だ」
※共に地獄まで系共犯者
幸福な生活を望むことは出来ないと、彼らは知っていた。優しい安らぎに身を委ねることが出来ないのが、彼らであった。
「幸せというのは個人の主観で変わる」
「そうだな」
「だから、他人から見て不幸でも、己が幸福だと思っていれば、幸福なのだろう」
「で?」
同行者の言葉遊びのような物言いに、男性めいた容貌の女性は面倒そうに先を促した。そんなどうでも良いことを口にするな、とでも言いたげだった。
「我々は共犯者で、幸せになることなど許されない罪人であるが、だからといって不幸と決めつけられるのは癪に障るという、話だ」
告げて、男はその手に生み出した火球を背後に向けて放り投げた。激しい爆発と、悲鳴と、破砕音。そんなものをBGMに男は走り出した。その傍らに、ぴたりと、まったく同じ速度で女がついてくる。
「犯罪者にされているのも気にくわないことの一つね」
「概ね同感だ」
女の言葉に、男は笑った。確かに、まったくもって、その通りだった。抗う全てが罪人だなどと、神を名乗る相手は本当に狭量だ。
『箱庭を壊し神を討つ宿命を負った、二人の共犯者の話』
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「君が当たり前の様に僕は幸せだろうと口にする度に、僕の心は崩壊していくよ」
※すれ違い系とか勘違い系
「お前は幸せなんだろう?」
そう言って笑う顔を、殴りつけたくなったのは私の未熟さだろう。目の前の男は、何も悪気など抱いていないのだ。ごく普通に、当たり前の様に、お前は幸せに生きているだろう、と。何て残酷な男だ。何も解っていない。そんな憤りを隠しながら、私はいつものように、ふわりと微笑んだ。
どこが、何が、幸福だと?ギリギリの状態で保たれた精神が、それでも必死に平静を保てと告げてくる。私の人生のどこに、幸福があると思うのだろう。そんなものがあったのは、貴方の側にいた時だけだったのに、それすら気づいてくれない。
「私は私に与えられた人生を歩むだけですよ」
「流石、聖女様」
「茶化さないでくださいな」
そう言って笑う私の顔は、ちゃんと聖女らしい微笑みになっているでしょうか。そんなものを求めた覚えなどなかったのに。この身に宿った力の、なんと呪わしい。
ねぇ、愛しい幼馴染み。私の幸福は、貴方の隣にこそ、あったのよ?
『運命に選ばれた聖女は、ただの少女として生きる道を奪われて、孤独に沈む』
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「君に約束したから、僕は何があろうとも幸せになると決めたんだ」
※一人取り残される系
「明るくなったね」
誰かにそう言われる度に、僕の胸は軋んだ。痛い、痛い、痛い。苦しい、苦しい、苦しい。けれどその痛みを乗り越えて、大丈夫だと自分に言い聞かせて、生きている。
そうだよ。僕は明るくなったんだ。前の、引っ込み思案で、暗くて、ひとりぼっちで寂しく生きていた僕じゃ、いけないと思ったから。人の輪の中に入って、ちゃんと生きなければと思ったんだ。
「幸せにならなくちゃと思って」
はにかんだ笑顔で告げたら、変なのと笑われた。そうだね。変だと思う。でも僕は、約束したんだ。幸せになるって。世界で一番幸せになるんだって。そう約束したから、凹んでなんていられない。
お荷物で、無力で、何一つ出来なかった僕だけが、生き残るなんて。どうしてだろう。生き残るのも、幸せになるのも、僕じゃなくて、彼らの筈だった。数あわせでその場にいた、ただの子供の僕を、どうして皆は生かしたの?
――お前を愛しているからだよ。
死の間際、彼らがくれた優しい言葉。だから僕は、幸せになると決めたんだ。
『仲間達に守られた少年が、幸せを求めて生きる話』
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「君が僕に与えたのは、幸せと言う名の呪縛だ」
※優しい監獄みたいなアレ
窓の外を眺めて、少年はそっとため息を吐き出した。視界に入ったのは、地平線まで続きそうな草原だった。その果てに何があるのかを、彼は知らない。ここがどこかも、彼は、知らない。
「どうかしたかしら?」
「いいえ、何も」
「そう。お茶でもいかが?」
「いただきます」
穏やかな微笑みを浮かべる女性に向けて、少年はこくりと頷いた。穏やかな面差しのこの女性は、彼の面倒を見てくれている優しい人だ。彼女に不満は無い。不満など、どこにもない。
ただ一つ、不満があるのだとすれば。
「……彼女は、どうしていますか?」
「お元気ですよ。ご立派に勤めを果たしておいでです」
「そうですか」
なかなか会うことも叶わない、己の片割れだ。双子の姉は、彼をこの城に預けると、自らは王城へと戻っていった。役目を果たすため。国を守る救国の女王として戦うために。
(……君は本当に、僕にだけ、甘いね)
籠の鳥のように彼を隠して、彼女は戦うのだろう。生きて、と微笑んだあの優しさを、彼は一生忘れない。
『双子は凶兆とされた国の、救国の女王と、隠された王子様のお話』
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「君と僕を幸せだと羨む人たちは、僕等の抱えた責務を知らないのだろうね」
※使命系
「私達は幸福な子供だそうよ」
面倒くさそうに呟いたのは、豪奢な赤毛の少女だった。まだ10代後半だろうに、その顔に浮かぶ表情は不思議なほどに老成していた。
「まぁ、客観的に見れば幸せな子供に見えるんじゃないか?」
答えたのは、金糸の髪を持つ少年だった。少女と同じように、彼もまた、ひどく大人びた風情を宿していた。彼らは整った顔立ちをした、それに相応しい装いをした、良家の子息と思しき二人組だった。下世話な者達ならば、恋人同士と評しただろうか。
けれど彼らは、そんな生半可な、生やさしい間柄では無い。彼らにとっての互いは半身、運命共同体だった。
「良いじゃないか。知られていないのは良いことだ」
「そうだけれど、無粋だわ」
「何が」
「私と貴方を、ただの幸せな子供と呼び、恋仲だと邪推する大人達が」
理不尽な世界に反旗を翻すような少女の声音に、少年はカラカラと笑った。仕方ないよと呟いたその声は、笑顔と裏腹に、何故かひどく、冷えていた。
『幼き身に力を宿し、世界の裏側から訪れる侵略者と戦う、二人の狩人の話』
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「君に会いたい僕は、幸せを放棄して罪を犯そう」
※一途に誰かを思う系
こつん、こつん、と少年の足音だけが静かに響いた。彼が歩いているのは、石造りの塔だった。その屋上へと伸びる階段を上りながら、彼は静かな表情をしていた。一切の感情を排除したようなその姿は、彼の人形めいて美しい容貌に似合いすぎていて、恐ろしさすら感じさせた。
「怒られるとは思っているのだけれどね」
小さく言い訳めいた言葉を紡いで、少年は扉へと手をかけた。その扉をゆっくりと押してしまえば、そこはもう、屋上だった。
ぶわり、と風が吹き付けてくる。少年はそれを気にせずに屋上へと足を踏み入れて、視線を、その場にいた存在へと向けた。
「本当に来たのか、貴様」
「嘘をつくような人間ではないよ」
「この場合、むしろ、嘘の方が良かろうて」
呆れたようなその存在は、背中にコウモリのような皮膜状の翼を持ち、側頭部に角を生やしていた。それを前にしても、少年は楽しそうに笑うだけだった。
「さぁ、契約を始めよう。世界の理を、逆転させる」
「……良かろう」
ただ一人の存在を求めるために、彼は世界を壊すのだ。
『大切な存在の為に生死の理を逆転させた少年の話』




