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三秒前と、お別れしよう  作者: 優衣羽
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痛みに耐えなくても


君の弱い所は?








誰だって苦手な事だったり弱い所があると思う。精神的にじゃなくて物理的に。精神面はその人にしか分からない弱さだけど、物理的な弱さは誰が見ても分かるはずだ。

例えば、くすぐられるのが苦手とか、走るのが遅いとか、そんなところから始まって、果ては歩くのが得意じゃないとかに繋がる。その痛みは君にしか分からないし、悲しい事も辛い事もあっただろう。


でもこれだけは言わせてくれ。僕はお腹を壊す事に関しては群を抜いていると。


冒頭の空気は何だったのだと言われるかもしれないが、僕は全世界でもお腹を壊すランキングでは上位に食い込んでるはずだ。それほどまでに、幼い頃からお腹を壊してきた。

正直、一週間に一回は壊しているんじゃないかというペースだ。しかし、もう長い付き合いとなれば、いつ腹痛に終わりが来るのかもよめるようになってきた。無駄な能力だね。


緊張はあまりしない性質だし、むしろ大舞台では始まる三秒前に突然やばいなってなる方だ。それまでは落ち着いているから、そのせいでお腹を壊す事もないのだが、しかし。何もない日に、何も食べてない日に理不尽にそれはやってくる。


僕は早く医学が進歩して、自分の内臓と話せる日が来る事を願っている。もしもし、本日はいかがですか?あ、駄目?駄目そうですか?何か食べたい物ありますか?って。生きている内に開発されればいいな。


きっと色んな痛みを抱えて人は生きている。僕は大人と言われる歳を迎えるまではずっと気付かなかったんだ。気付いている振りをしていた。これまで色々な痛みや悲しみがあって、それが全てだと思っていた。


確かに、十代でぶち当たる感情は美しく苛烈を増すものだろう。だってそれが初めてだ。他人に傷つけられるのも、そこに思慕が含まれるのも、それでも最後には綺麗に見えるのも。全部その年齢だから出来た事だ。


しかし、振り返って見るとどうだろう。悲しい事も辛い事もあったけれど、それは全て自分だけのもので、周りは感じていないなんて事を思っていた。それも十代あるあるなのかもしれないね。けれど、気付いた時には違っていた。僕が悲しいと思っていたら、遠いどこか、もしかしたらすぐ近くで別の悲しみを抱いている人がいるかもしれない。痛みを耐えているかもしれない。涙を流すまいと、唇を噛み締めているかもしれない。


君が思っている以上に世界は広くて、僕が思っている以上に人は手を取り合える。


大人と呼ばれた生き物に反抗していた。けれど、それは経験を積んだ子供だったと気付いた時、何だか心が軽くなった。大人なんだからしっかりしなさいとか、責任を持ちなさいとか、色々な事が降り注いでくる。確かに、責任は大事だよ、でも大人らしくなんてどこにもなかった。無理に頑張っても意味がないと分かった。


今の僕は自分より年下の人間に指導をしてくれと言われた時、きっと大嫌いだった勉強をしろって言葉を口にするんだろう。きっと出会ってきた大人たちは僕らを困らせるために言ったんじゃなくて、自分よりも良くなってほしいという気持ちで言ったのだから。


痛みも苦しみも、その歳でしか感じられない想いも全部君のものだ。だから、忘れないで大切にしてくれ。それは君の誇るべき遺産になる。

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