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三秒前と、お別れしよう  作者: 優衣羽
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裏切り行為


人を傷つけるのは簡単だけど、傷つけたと自覚するには長い時間を必要とする。







何だか笑っちゃうくらい悲しい出来事の連続で、今日友人から貰ったミルキーに小吉と書いてあって、このために運を使ったのか自分はと思ってしまったくらいには、今日も世界の理不尽にたった一人反抗し続けている。

名作は有名だから素晴らしいとは限らない。結局、バックに誰が付くかによって変わるのだ。運も実力の内と言うけれど、大して面白くもないものが形に残って本当に面白いものがゴミ捨て場に連なっていくのが何だか許せなかった。だからこそ、自分が面白いと思った人、好きだと思った作品には必ず感想を言うようになった。何だか悲しくて。誰からも反応がなかったら、人は簡単に物事を諦めてしまうのを知っているから。自分だってそうだから。たった一人でも、見ているよって。面白いよって。また見せてくれって言ってくれる人の存在がどれだけ大きいのか、創作者なら痛いくらい分かるはずだ。


ただ、感想を本人に言う勇気がないだけ。けれど、愛情は必ず言葉にすべきだ。もう手遅れになってしまう前に。ネットが普及した世の中で、もう一度同じ人を見つけるのはほとんど無理だから。君が君でいる間に、言葉にすべきだ。真摯な言葉は必ず届くから。



そんな事を口にして、今日も狂った研究を思い出す。笑ってしまうくらいアンラッキーが続いて、世界の理不尽に反抗して必死にもがき続けた間、何故か私の耳にはダンテばかり入ってきた。

お前ら絶対口裏合わせただろ、と言わんばかりに、何故か毎日毎日ダンテを耳にした。確かに、狂った事を勉強しているとは思ったけれど、こんなにも同じ事を聞くとは思ってなかった。何で。でも、もしかしたら必要だったのかもしれないね。


友人は大切だけれど、いざという時に助けてくれるかと言ったら答えは否だ。今まで生きてきた中で、自分より誰かの身の方が大事という人間に会った事が無い。多分、自分も含めて僕らは自分が大好きだから必死にこの身を守ろうとするのだろう。誰かに守って欲しいなんて言いながら、自分は裏切るのが都合の良い人間だ。そんなやつ沢山いたな。


ダンテの神曲という作品がある。これは多くの人が聞いた事があるだろう。地獄煉獄天国の三つの構造からなる、世界最高峰の夢小説だ。もう一回言う。あれはダンテの為の世界最高峰の夢小説だ。


大まかな説明をすると、ダンテ自身が主人公になり、昔の詩人をお供に地獄煉獄天国を旅して帰ってくる物語だ。いいか。自分が主人公だ。あいつは自分が主人公の物語を、100冊分書いた飛んだキチガイだと思っている。


けれど、正直。彼の書いた事は酷く共感できるのだ。

彼は全ての罪の中で一番重い罪、地獄の最下層、コキュートスに落ちるべき人間は「裏切り」をした人間だと記述した。

彼のそれまでの人生の中で、多くの人に裏切られてきて、心が疲れてしまったのだろう。誰かを殺すでも犯罪を犯すでもなく、彼は裏切りこそが最大の罪だと言った。それだけが、酷く自分の頭に残っている。


人は必ず裏切る生き物だ。だからこそ、信用する人物は自分と数人だけで良い。誰かを信用して裏切られて悲しい思いをするのなら、もう誰も信用するな。裏切った人間はコキュートスに落とせ。


ああ。確かにな。って。何でこんな作品勧められるんだ意味が分からないと思っていたんだけど、足りなかったのはこういう事だったのだなって思った。


いつか別れると知っていても、その時間が楽しいから信用してしまうのだ。だから、裏切られた時酷く悲しくなる。立場が変わっただとか、貧富の差だとか、交友関係だとか、そんなの気にしなくていいだろって思っていた。それは君を取り巻く一部であって、君の本質を変えるものではないだろう?僕は君の本質が好きだから一緒にいたんだけど、君は僕を取り巻く一部に恋をしていただけなのだ。



何だか人間不信が加速しているからここまでにしとくけれど、僕はやっぱり人が嫌いだよ。だからこそ、作品を作れるのであって、だからこそ、今ここに立っているから文句は言わないけれど。

簡単に誰かを裏切って簡単に知らない振りをする。正義なんて間違っていても皆が言った方に変わるし、真実はいつだって公にされないのだ。

だからこそ、人は信じさせてくれる誰かを探すのかもしれないね。この人は大丈夫だって確信が欲しいのだ。

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