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三秒前と、お別れしよう  作者: 優衣羽
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春の嵐

春の嵐










作品を見てくれている人は何となくお気付きかもしれないけれど、私は春が好きだ。三月下旬から四月ににかけての、雨の後暖かくなる世界が。

365日を始めるにあたって、まず好きな季節から始めようと思った。春は出会いと別れの季節でもあるから、桜はいつまで経っても儚いままであるから。そこから始まった。


春が好きだ。生きやすい世界であると思う。春の醍醐味と言えば、良く晴れた日の午後一時過ぎから干したてのシーツにくるまれ寝る平日の昼寝だ。

まず、平日にする昼寝の背徳感が凄い。こんなにも幸せなのに、滅茶苦茶悪い事をしているみたいで最高だ。ぜひ試してみて欲しい。昼食をとって、寝室に入って。窓は少しだけ開けたまま、カーテンは風でたなびいて。部屋の電気はつけないまま、春の日差しに照らされて欲しい。干したてのシーツからは乾いた匂いがして、それに包まれ寝る素敵な午後。一度はやらないと。一度やってしまえば癖になるのだけれど。私にとって、それは春の醍醐味であり、人生の中で味わえる幸せな瞬間ランキング十位圏内に入っている。


寒くなってくると春が恋しくなる。誰かと共に熱を分かち合うのも素敵だけれど、私は一人で春の嵐の中にいたい。


春の嵐は嫌いじゃない。むしろ好きな方。あれだけ荒れ狂うのにも関わらず、何処か温かみがある。秋の嵐がさよならだとしたら、春の嵐は久しぶりって言われているみたいで心地が良い。だから、降った雨に打たれるのも悪くはない。


春の嵐のようになりたい。毎年やって来て記憶に残る。でも、どこか温かみがある、そんな存在に。花を散らして桜を流して、それでも美しい、そんな人。

思い出した時、悲しい思い出じゃなくて。嫌な思い出でも無くて。ああ、そう言えばあの時貴方はこう言ったわって、思い出して笑えるような存在でありたい。一瞬で心を奪い去って消えてしまっても。思い出だけは温かなままで。

あの時貴方はこう言って、私は確かこう返したの。長い人生の中で、一瞬でしか一緒にいれなかったけれど、毎年思い出しては懐かしさと温かさに微笑むの。って。

根本的に温かい人間ではないから難しいけれど。



私は自分の事を春から一番遠いと思っている。けれど真冬でもない。ちょうどこのくらいの季節で、このくらいの温度を持った人間だと思っている。貴方は春のようだと、誰かが私に言うのなら、その人にとっては私の眩しい所しか見えていないのだろう。中身はこんなもんだ。


だから私は十一月が苦手なようで好きなんだと思う。寂しさを運んでくる。誰かを恋しくさせる。一人では耐えられない。けれど一人で歩くしかない。そんな季節。



春の嵐が、雷が、雨が、今から待ち遠しい。

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