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三秒前と、お別れしよう  作者: 優衣羽
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なれるよ

日々の日常で起こった事や思った事を、取り留めなく書いていくオチのないお話達です。


なれるよって凄い




「なれるよ」って言われた事がある。きっと皆言われた事があると思う。

心も篭っていないその言葉に、何度嫌気が差したかは分からない。


未来の事が見えていないくせに、今の自分の苦しみや葛藤、これまでを知らないくせに、こいつは何で「なれるよ」って言えるのだろう。

「出来るよ」って言うのだろう。


君なら出来る。この言葉が嫌いだ。だって何人の人に言ってきたの?私だけじゃないでしょう?もっと沢山の人に言ってきたでしょう?


だから私はこう返す。


「そんな事ないよ」。


自分で自分の限界を、きっと誰もが心のどこかで感じてる。

それを表に出すか出さないかは別として、少なくとも私は感じている。

これ以上言っても、変わりはしない。書いても、話しても、勉強しても、努力しても、何しても。


ここの所、ずっとそんな気持ちだった。


書きたくて始めた。誰かに届かなくてもいいから、自分の好きな事を形にしたくて始めた。

でも、それはいつしか重荷に変わっていった。

毎日パソコンの前に座るのが億劫になった。次第に感覚が空いていった。アイデアが浮かばなくなった。それで良いと思ってしまった。


でも、違った。


少なからず、私は期待してた。評価される事。愛される事。名声を得る事。

だって人間だもの。気にしますって。


感想を貰った時、嬉しかった。頑張ろうと思えた。でも欲が出た。



空回って行き着いた先、占いに行こうとなった。

なぜそうなったのかは分からないけれど、占いに行った。

そしたらその時に言われた。


「なれるよ。何で駄目と思っちゃうの。貴方には貴方の世界があって、それを良いと思ってくれる人はいるのに」



その時の「なれるよ」が、何故かすっと、頭と心の中に入ってきた。


言われても響かなかった。占いなんてほとんど信じてなくて、参考にしてただ、「ほう」。と言うだけだった。

でも響いた。多分それは、心からの言葉だったからだと思う。

欲しかった言葉を、ようやく貰えたからだと思う。

だから、小さな事からやり直そうと気が付いた。

きっと回りまわって帰ってくるかもしれないから。


カレンダーをめくった。五月から一度もめくってなかったカレンダーを。

クローゼットを綺麗にした。沢山の物が出てきた。


言えなかった事を言えるようになった。少しだけ。


人生って何が起こるかは分からないけど、少なくとも、この「なれるよ」に救われた自分がいたのだ。

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