なれるよ
日々の日常で起こった事や思った事を、取り留めなく書いていくオチのないお話達です。
なれるよって凄い
「なれるよ」って言われた事がある。きっと皆言われた事があると思う。
心も篭っていないその言葉に、何度嫌気が差したかは分からない。
未来の事が見えていないくせに、今の自分の苦しみや葛藤、これまでを知らないくせに、こいつは何で「なれるよ」って言えるのだろう。
「出来るよ」って言うのだろう。
君なら出来る。この言葉が嫌いだ。だって何人の人に言ってきたの?私だけじゃないでしょう?もっと沢山の人に言ってきたでしょう?
だから私はこう返す。
「そんな事ないよ」。
自分で自分の限界を、きっと誰もが心のどこかで感じてる。
それを表に出すか出さないかは別として、少なくとも私は感じている。
これ以上言っても、変わりはしない。書いても、話しても、勉強しても、努力しても、何しても。
ここの所、ずっとそんな気持ちだった。
書きたくて始めた。誰かに届かなくてもいいから、自分の好きな事を形にしたくて始めた。
でも、それはいつしか重荷に変わっていった。
毎日パソコンの前に座るのが億劫になった。次第に感覚が空いていった。アイデアが浮かばなくなった。それで良いと思ってしまった。
でも、違った。
少なからず、私は期待してた。評価される事。愛される事。名声を得る事。
だって人間だもの。気にしますって。
感想を貰った時、嬉しかった。頑張ろうと思えた。でも欲が出た。
空回って行き着いた先、占いに行こうとなった。
なぜそうなったのかは分からないけれど、占いに行った。
そしたらその時に言われた。
「なれるよ。何で駄目と思っちゃうの。貴方には貴方の世界があって、それを良いと思ってくれる人はいるのに」
その時の「なれるよ」が、何故かすっと、頭と心の中に入ってきた。
言われても響かなかった。占いなんてほとんど信じてなくて、参考にしてただ、「ほう」。と言うだけだった。
でも響いた。多分それは、心からの言葉だったからだと思う。
欲しかった言葉を、ようやく貰えたからだと思う。
だから、小さな事からやり直そうと気が付いた。
きっと回りまわって帰ってくるかもしれないから。
カレンダーをめくった。五月から一度もめくってなかったカレンダーを。
クローゼットを綺麗にした。沢山の物が出てきた。
言えなかった事を言えるようになった。少しだけ。
人生って何が起こるかは分からないけど、少なくとも、この「なれるよ」に救われた自分がいたのだ。