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短編・エッセイらしきもの

地面でもいい

作者: 本谷文途

空もいいけど

 よく、辛いときやどうにもならないとき、空を見て落ち着いたりしていた。



 大きな優しさに包まれるように、ちっぽけな自分だと、小さい悩みだと、気にならないようにするために──。



 だけど、本当に悲しいことや、辛いことに直面したとき、空を見る余裕があるだろうか……。



 空を見ることに向けられる心の余裕が。

 目線を上に向けようと思える意思が。

 顔を上に向けようと思える意思が。



 きっと、そんな余裕や意思はないだろう。



 この前、大きな悲しみに直面した──。



 もっとああしとけば、こうしておきたかった、やり直そうとしても、どうにもならない……そんな事に直面した。



 涙が溢れて仕方なかった。

 空なんか見る余裕なんて、どこにもなかった。

 悲しみだけが、ずっと胸の中をぐるぐるとしていた。



 視界に入ったのは、歪んだ床だった……。



 どうにも頭を上げる余裕も、空を見ようとする心の余裕も、どっかにいってしまった。



 一通り終わって、外に出てから、歪んだ視界で見た地面は、桜の花びらが所々に落ちていた。



 もう桜も終わりか……なんて。

 気分は沈んでいるはずなのに、小さいことに気がついたりして──。



 もし、顔を上げることが出来ないくらい、悲しいことや辛いことに直面したとき、無理に顔を上げなくてもいいと思う。



 きっとそこには、小さな何かがあるから。

 普段気にも留めなかった、小さな花だとか。

 せっせと餌を運ぶアリだとか……。



 そんな事に気を回すほど、その時は余裕がないかもしれない。



 それでも、その時目にした物に、少しでも気が紛れたら、大丈夫だ。

 それは、ちゃんと踏み出そうとしている証だから──。



 悲しい時から一週間経って、まだ少しもやっとする時もあるけれど、ちゃんと進めた。



 わかったようなこと言うな、と言われるかもしれない。

 それでもいい、それでも、伝えたかった。



 無理に顔を上げようとか、そんなこと思わなくていい。



 辛いのに、顔なんてあげられない。

 なら、下を向いて、小さな何かに気づけばいい。



 一歩進められる、何かを……──






顔を上げられるようになったのは、全部終わって外に出てからでした。

その日は、風が結構ふいていたけど、良く晴れていました。



よければ他のも読んでってください(^^)

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 作者さま、何か身近で不幸でもございましたか? [一言] いろいろと抜け落ちたときには何見たって心に迫るものですね。
[良い点] 決して何があったとは言わない構成に想像が膨らみ、ストーリーの味わいを深くしているところが良かったです。 [一言] 地面にもいろいろな存在があり、特に今の季節は花々が咲いていて、彩り豊かです…
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