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【一瞬を捕まえて】
彼は黒いモヤモヤに近づこうとする2人をペシペシ交互に叩いて近寄らせないようにしてる。きっと、彼はあの子がこの先のどこかにいるってわかってると思う。でも、行かない、私たちを連れて行きたくないのかもしれない。
まるで門番のように立ちはだかる彼が大きく見える、いや、彼も少年たちも少しづつ大きくなってる。
最終的に私の半分くらいの大きさにまでなったところで彼は一本の縄を輪っか状に結んで穴に向かって立った。
少年たちは静かに彼の後ろへ並び縄を持った。
私も輪っかの中に入って縄を持った。
「んーーーーーーーーー」
「「しゅっしゅっしゅっしゅ」」
彼の声に呼応して、少年たちは「しゅっしゅ」とかけ声をかけている。が、全然前に進まない。
私の出番なんだ。
「あの子捜索隊!出発!!」
私たちは少しずつ黒いモヤモヤに向かって進みだした。まだ、先はなにも見えないけれども。




