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土の126号  作者: はぐれSS
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【あの子を探して】

「あの子を探して」私は彼にそう伝えた。


あの子の家は今もどこかに居るんじゃないかって思うぐらい、普段通りで、ちょっと散らかっていて。それでも、あの子はいない。




少年たちは、勝手にあの子の家の中を走り回って探しているのか、荒らしているのか、よくわからないけど、隅から隅まで行ったり来たりしてる。


彼は、この家に入ろうとしないで広場の真ん中からたまにこちらの様子を伺っているようにも見えるけど、そっと見ようとすると反対方向を向いていたり、身体を半分土に埋まってみたり、ゆっくりな動きで背中を向けて踊ってみたりしてる。




だから、彼の真ん前に立って言ったの、「あの子を探して」って。


彼は静かに、地面に埋まろうとしたから、二人組に「お願い」って言った。


「やー、やー」ってお揃いの服の少年たちは彼を紐でグルグル巻きにして、両側から引っ張り合いを始めて、よいしょ、よいしょのかけ声とともに徐々に彼は地面から出てきた。


彼は私になにやらくねくね手を動かして、なにかを伝えようとしてるけど、少年たちも一緒になって何やらくねくねマネしてるからさっぱりわからない。




暫く、くねくねしてたけど、あきらめたのかパタンって後ろに倒れて「んー」って言ってそのままロケットみたいに飛んでいこうとしたところを少年たちに捕まってた。


「ありがとう」って少年たちの頭を撫でたらとても喜んでいた。




彼は、あきらめたのかあの子の家に入って、壁に穴をあけてくれた。その先はなんか暗くてモヤモヤしているけれど、行かなきゃいけない気がした。




彼は半身で私をちらりと見て、モヤモヤを指して「ん?」っていった。


私は両手にギュッと力を込めて暗いモヤモヤのその先に視線を向けた。

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