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【kokohadoko】
僕は何で知らないところにいるのだろう。冷たい雨に、暗い町、生き物の気配もなく。
彼もいない。あの2人もいない、あの子もいない。
ああ、ただ楽しく毎日を過ごしていただけなのに、なんでこんなところにいるんだろう。暗くて怖いけど、身体が冷えてしまうから建物に入った。
けど、温かいものは何も見つからない。雨に濡れるよりはマシだと思った。
どんよりとした雲は分厚そうでしとしと降る雨は止みそうにない。
どうしようもない、けれど遠くに見えるとても高い塔に行こうと思う。理由は無いけれど、違う。あの塔だけはこの雲の上まで伸びてるかもしれない。
僕は彼といつも見ていたおひさまが見たいと思ったんだ。




