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土の126号  作者: はぐれSS
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【居なくなったあの子】

日の光、目を覚まして外を見る。外には誰も見当たらない。家の中には小さな 2 人が変な恰好で眠ってる。

私は髪をとかしながら、今日は何しようか考える。

ここにもだいぶ慣れた気がする。そろそろ彼が何かしだす頃じゃないかと思っていると外から聞こえてくる彼の声。

それにつられるように小さな 2 人は飛び起きて、布団がわりのタオルを蹴っ飛ばし、裸で駆けていく。

「やー、んー、やー」

今日も元気そうで何よりだけど、隣のあの子が出てきていない。寝坊かな。

今日は彼が隊長さんみたい、後ろを 2 人がついて行く、その後ろを私がついて行く。

いつもいるあの子が今日はいない。

それでも、みんなはいつも通りに食べ物取ったり、道草食べたり、苦くて吐き出したり。

夕飯になっても、あの子は出てこない。

私はとびっきりおいしい匂いになるようにお料理を頑張った。彼も2人も小躍りしながら食べてたから、「こぼしちゃうからダメだよ」と言ったら「うむ、ん」って言ってお行儀よく食べてました。

彼はあの子の家をちらっと見た気がしたけれど、ずずずぅぅぅぅってお汁を啜っていた。

次の日もあの子は姿を見せなかったの。

それ以外は普通の毎日、普通、いつまでも 2 人ははだかんぼう、だからお揃いの服を作ってみた。

全く同じ柄なのに、2 人は取り合いしているもんだから彼が無理やり着ようとしたら慌ててそれぞれ服を着たよ。鏡みたいに向かい合わせになって同じポーズをとっている。

気づいたら彼は帽子を被ってた。

「素敵な帽子ね」って言ったら。なんとなく背中がうきうきして見えた。

それでも、ふとあの子の家を見ている気がする。


その次の日もあの子は姿を見せなかったの。


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