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土の126号  作者: はぐれSS
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【三角のかぶと】

このところ雨降りが多い、酷く降る時も、小雨の時も僕はあの子と外を見ている。


「彼はどうしたのかな?」


あの子は僕に聞いてくる。でも、僕もわからない。こんなことを考えていると家の前に現れていない。


「急に、ふっと気が付くと居たりするんだけど、今はいないみたいだね」

「そうなんだ、明日は雨が止むといいね」

「そうだね」



そして、次の日。久々に青空。空を見上げる僕の足元から聞こえる、彼の声。気合いが入っているような気が。


「どうしたの、その頭の三角、かわいい」

となりの家から顔を出したあの子の声に合せるように下を見る。


彼は頭に三角の布を巻き、腰にも布を巻いている。あれは確かエプリオンとかいう名前だったきがする。


あの子も近くに来て彼を見る。


「ん~ん~~ん~んんんん」

彼は両手を上げ、その手にはいつの間にか棒に布が付いたものを持っていた。


僕たちを見ているような、見ていないような、いや、やっぱり見ている。


「彼は、僕たちに何か言おうとしている」

「そうなの?」


彼は手の棒を僕に向け、そして僕の家をびしっと差し示した。

あの子にも同じようにあの子の家を刺し示した。


僕たちは促されるように自分たちの家を見る。そして視線を戻すと。



いつの間にか僕らの前には小さな土の家が出来ていた。彼は、手に持った棒でその家をペシペシしている。


「…掃除をしたらどうかってことか?」

「天気がいいからかもね、やろうよ」


結局、僕が一番時間がかかってあの子が手伝ってくれたんだ。



え、彼はって。


あの棒で汚れているところをペシペシ教えてくれてたよ。


まるで将軍みたいに、あの三角は僕には兜にしか見えなかったんだ。


でも、きれいになるのは気持ちがいいね。


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