表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
土の126号  作者: はぐれSS
50/61

【あの子はだーれ】

森を歩く、目的は食べられるものを探すためだ。




今はそこまでお腹は空いていない。でも、保存ができるものがあれば嬉しい。






「何も、ないな」




ひとりごとを言いながら木の下の葉っぱをめくる。


「ん?」


「ん?」




「どうしたの」




彼と目が合った僕は聞いてみた。




ぽてぽてと歩いてきた彼は僕の足を軽くぺしぺしすると「んー」といいながら森の奥に入って行く。




彼がついて来いと言っているように感じて後をついていく。




森の中の開けた場所に出ると、何かが倒れている。




「大丈夫」




僕と同じ・・・




「ん、んー」




彼は自分の背中に石を背負う。


僕は倒れているヒトを背負う。






彼は石を背負ったまま動き出す。あの方向は僕らの家がある方だ、と思う。




僕はヒトを背負って彼の後をついていく。背負われていても背中のヒトは起きる様子がない。




背中に感じる、重みとやわらかさ、そして温かさ。








家に着くと彼は僕らの家の隣にもう一つの家をすごい速さで作っていく。


彼の姿が2つ、いや、3,4,5,6,数えられない・・・




「「「「「「「ん。んっん~、んーんーん、ん、ん、ん~」」」」」」」


森の方からベッドが7人の彼に運ばれてくる。




いつもなら彼1人分であれくらい持ってきそうなのにな、とか思いながら。楽しそうにしてるから楽しいのだろうって思う。




あっという間に出来上がった家にベッドが一つ。




たくさんの彼は近くの彼と合体するように半分、また半分、またまた半分、と徐々にその数を減らして、いつも通りのひとりになるとベッドのところまで行き。




「ん~」といって、ころんと横になった。




僕は背負っているヒトをベッドに横にしたんだ。




まだ目を覚まさないヒトに向かって僕は、




「君はだれ」




と声をかけた。








返事はなかったけどね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ