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【創造の行方】
バシャバシャ、ザーザー
家の外はびしょ濡れ、雨の音は徐々に小さくなって、静寂がその領域を広げていくように。
その広がりに合せるように色の濃い雲が薄く、周囲はほのかに明るく…
ん?
びしょ濡れの広場にいつの間にか現れたのは、彼だ。
僕には判る、この雰囲気。彼は何かをやる気だ。この微動だにしないこの時間すらも一枚の絵画のように僕の期待感を高めていく。
僕は誘われるように彼のもとへ歩いていく。あ、彼に雲の隙間からのお日様の光が…
ばしゃばしゃばしゃばしゃばしゃ…
彼はスイッチが入ったように動き回る。
バシャバシャ…ベチャベチャ…ネチャネチャ…
目の前で雨と土は混ざり合った。彼は左腕をチョコンと上げた。
柔らかそうな茶色の一面に僕は飛び込んだ。
彼と2人で泥まみれ。
暫く遊んで、彼が泥をぐるぐる巻いて山みたいなのを作った。
「んー」両腕をチョコンと上げて、満足気に川の方にぽてぽて歩いていく。僕も後をついて歩いていく。
後ろを振り向くと、二人の足跡と、その先にはぐるぐる巻いた山が見えていた。
その後川で泥を流しながら、バシャバシャ遊んだのはまた、別の話し。




